くらし [特集]ニセコ町に関わる全ての人へ~ニセコルールを今、考える(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道ニセコ町
- 広報紙名 : 広報ニセコ 令和7年12月号
ロープをくぐってはならない。
ニセコ町民なら一度は耳にし、この言葉を軸とした「ニセコルール」の重要さを実感しながら山を楽しみ、楽しむための安全性について考えたことがあるのではないでしょうか。
12月に入り、いよいよ本格的な冬を迎えます。
滑り手もそうでない人も、改めてニセコルールについて考えませんか。
今からちょうど30年前、1995(平成7)年12月1日、ニセコ町で第1回雪崩ミーティング「雪崩事故を防止するために」が開催されました。このミーティングは、スキー・スノーボードを楽しむ滑り手のみなさんや地域のみなさんが、冬山事故を無くすにはどうしたら良いかを議論し、一緒に考えるものです。町やニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会など主催はさまざまですが、これまでに25回開催されています。
初めての雪崩ミーティングが行われた前年には、新谷暁生さん(現ニセコ雪崩調査所所長)が各スキー場に雪崩に関する情報提供を実施。また、そのさかのぼること10年前には、ニセコスキー場安全利用対策連絡協議会が発足するなど、「ニセコローカルルール(現ニセコルール)」が制定される以前より、雪崩事故について考え、対策がされてきました。
◆雪崩事故の多いニセコ
なぜこのように、滑り手と地域住民が冬山事故を無くすために一緒に考えてきたのか。雪崩情報が提供され、人々が関心を寄せてきたのか。
その理由は、ニセコの山の雪崩事故の多さにあります。1937(昭和12)年にニセコアンヌプリ春の滝で雪崩事故が発生したという記録をはじめとし、昭和後期から平成初期にかけて雪崩事故が頻繁に発生していました。
ニセコの魅力は雪。特に絶妙な水分量によるパウダースノーは、世界中の滑り手から注目を集めました。その結果、バックカントリーを楽しむ人がニセコの雪山を求めて訪れるようになりました。また、リフトの延長でコース外へアクセスしやすくなったことなども事故が増えた要因であるとも考えられます。
このようにして増加してきた事故を防止したい。ニセコの雪を楽しむ人たちの安全を守りたい。滑り手や地域住民など、多くの人の思いから「ニセコルール」が制定されました。

●雪崩はどのようにして起こるのか
北海道では、毎年多くの雪が降り積もります。降り積もった雪は、やがて板のように固まります(雪板化)。吹雪では、このような雪板が素早く作られ(ふきだまり)、雪板は時間が経てば丈夫になりますが、ふきだまりは作られてしばらくの間、もろく割れやすい状態が続きます。雪崩は、吹雪が風下の急斜面に作るふきだまりが、広い範囲であっという間に割れて起こります。
ニセコで起こる雪崩の多くは、面発生表層雪崩と呼ばれる表層雪崩です。表層雪崩とは、雪の中にある層をさかいに、その上がなだれ落ちる雪崩のことです。強い風や風雪時の風下側の斜面では、ふきだまりの雪板化が短い時間で進み、スキーで滑ると一瞬で広い面積が同時に割れて、面発生表層雪崩が起こります。
(子ども・家庭向け雪崩教本「雪崩を学ぶニセコの子どもたちへ」参照)
※詳細は本紙をご覧ください。
◆安全を守り自由を尊重するニセコルール
ニセコルールは、コース外滑走をただ禁止するのではなく、滑り手の自由を尊重し、安全にニセコの山を楽しんでもらうためのニセコエリアの独自のルールとして2001(平成13)年に制定されました。
国内の多くのスキー場では、コース外滑走が禁止されているところもあります。ニセコルールは、完全立ち入り禁止の区域を一部設けていますが、滑り手にとって魅力的であるエリアのコース外滑走を禁止せず、そこにはあえて「ゲート」を設け、ゲートからコース外へ出ることで滑走を認めるというルールです。もちろん危険だと判断される場合にはゲートは閉じられており、ゲートの外に出ることはできません。それまでに繰り返されてきた雪崩事故から、多くの人が議論を重ね、作られたルールです。
「ロープをくぐってはならない」。この言葉を軸としたニセコルールは、6つのルールと5つの補足から成り立ちます。そのシーズンの最善のルールであるよう、ルールの文言の追加や修正などといった見直しも行われています。
制定当初より、学術的ではないという理由で多くの批判があることは、過去の広報ニセコの中でも語られています。しかし、ルールの重要性や必要性を理解し、ルールを守る多くの人々により信頼されてきたニセコルールは、着実にニセコの山を滑る人々へ伝わっています。
