くらし [特集]ニセコ町に関わる全ての人へ~ニセコルールを今、考える(4)

●「ルールを守ってウィンタースポーツを楽しんでほしい」
・ニセコアンヌプリ国際スキー場 パトロール隊長 松浦 康友さん
スキー場で働き始めて、コース外での事故を耳にするようになりました。事故が無くなればいいという思いでパトロールをしています。救助をする中で、ニセコの雪山でけがをした人が、「助けてもらえなかった」と思うことが無いような仕事を心がけています。
かつては、スキーが上達した子どもたちが、ニセコルールを知らずにコース外に出て、子どもたちだけで滑っているような危ない姿も見受けられました。今は、学校で雪崩授業を実施していることもあり、子どもだけで滑る姿を見なくなりました。ルールがあることを知らない子はルールを守ることはできませんが、ルールを知った子どもたちが守っているところを見ると、取り組みとしてもうまくいっていると感じます。スキーやスノーボードを楽しいと思ってくれる子どもたちが、スキー場で働いてみたいと思ってくれたらうれしいです。
楽しい場所にはルールがあります。楽しむためにもルールを守って滑ってほしいです。

◆ニセコルールを伝える 広く、将来につなぐ活動
これからもニセコの雪山を安全に楽しむためには、ニセコルールの重要性を理解し、次の世代へとつないでいく必要があります。
新谷さんは、ニセコ町に暮らす子どもたちに雪崩の仕組みや怖さ、自身の体験を伝えるため、町内の学校で「雪崩授業」を開催しています。また、ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会(役場商工観光課事務局)とともに、子ども・家庭向け雪崩教本「雪崩を学ぶニセコの子どもたちへ」を作成し、ニセコ町・倶知安町の小学5年生を対象に配布しています。今シーズンからは、リゾートエリアで働くスタッフにも教本を配布する予定です。このような活動は、雪崩について知り、自分がどのような行動をしたらよいかを考えるきっかけとなる、ニセコ町ならではの学びを得られる機会となっています。
このほか、ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会では、雪崩情報記録集の宿泊事業者への配布や雪崩情報のPDF版の施設への配信、ラジオニセコでの音声配信など、たくさんの人にニセコルールを知ってもらい、情報を届けるための活動をしています。
また、学習交流センターあそぶっくでは、雪崩に関する本を集めた展示や新谷さんが執筆した本の展示、新谷さんを講師に迎えた講習会を開催しています。子どもから大人まで、雪山に親しむたくさんの人が関心を寄せて参加しています。

●学習交流センターあそぶっく
事務局長 平山 純さん
昨年行った雪崩講習会には、子どもだけではなく大人も多く参加していただき、町民のみなさんの興味・関心の高さがうかがえました。難しい内容でも子どもたちが真剣に聞いており、リアリティがある内容は伝わりやすいと感じました。あそぶっくでは、雪崩などといったニセコならではのテーマへの理解が深められるような企画を実施し、図書館・交流センターとしての役割を担っていきたいです。

●北海道ニセコ高等学校
2年 國井 ぴりかさん
雪崩事故で家族を亡くされた友だちがおり、雪崩の怖さは知っていました。ニセコルールを知らない人や知っていても好奇心で危険なところを滑ろうとする人もいます。誘われることもありますが、危険なところには行かないなど、ニセコルールを知っているからこそ、危険であることを伝えていきたいです。

●北海道ニセコ高等学校
2年 北川 もえさん
昨年、防災サミットへ出場し、雪崩について学びました。事前に学んでいたことで新谷さんの雪崩授業にとても関心を持ちました。その中で、ニセコルールを学び、知っている人こそ雪崩に巻き込まれると言っていたことが印象的でした。「知識があるから大丈夫」という気のゆるみや、「みんなが行っているから安全」とは思ってはいけないと感じました。楽しいはずのスキーが悲しい事故につながると、マイナスなイメージを持たれてしまいます。観光客を含めたもっと多くの人に広まるよう、できることをやっていきたいです。

◆今、改めて考えるニセコルール
事故を防止し、安全にニセコの雪山を楽しみたいという多くの人の思いから作られた「ニセコルール」。ルールを支える人とルールを伝える人、そしてルールを守る人により、今日までニセコの山の安全が守られてきました。
なぜルールがあるのか。なぜルールが必要なのか。滑り手が、自身の自由が尊重されたこのルールの意味を理解し、自分でリスクを考えていく必要があります。
昨年度開催された「なだれの夕べ」で新谷さんは、「せっかくニセコに来たのに事故に遭ってほしくない」と語られました。誰もがニセコの雪山を安全に楽しめるよう、事故防止を目的に安全を願い、活動している人がいます。ニセコルールに関わるみなさんの声から、今一度、ニセコの雪山の安全について考えてみませんか。