くらし 特集 夢を育てる チャレンジキッチン(2)

▼生ドーナツで広がるマチ・ヒトへの思い
LOOPS(ループス)DONUT(ドーナツ) 富田桃子(とみたももこ)さん(栗山町在住)
▽ドーナツを通じて芽生えた栗山町への思い
結婚をきっかけに夫婦で栗山町に移住し、一昨年には第一子となる息子も誕生しました。
初めての育児に多忙な日々が続き、精神的にも少しつらかった時期がありました。そんな時、なぜか「無心で生地をこねたい」という思いが降ってきて、それ以来、生ドーナツをつくるようになりました。その後はすっかり生ドーナツの虜になり、食べやすさを追求した「生地が脂っぽくないドーナツ」を目指し、何度も試作を重ねました。
くりふとキッチンの存在は以前から気になっており、ろっくすさん(次ページ参照)の販売するスコーンをよく買っていました。
いざキッチンの利用登録を行い、販売を始めてみるとビックリ。多くの方に来店いただいただけではなく、「応援しているよ!」「完売おめでとう」などといったエールをいただき、町の皆さんのあたたかさに心打たれました。
町内の友人が少なかった私ですが、定期的に出店を重ねていくうちにたくさんの方とつながりができ、日々の生活がより楽しくなりました。先日はお笑い芸人のバービーさんにも来店いただき、うれしさでいっぱいでした。
移住・結婚・出産など、この二年間で生活環境が大きく変わりましたが、町のあたたかさに触れ、この町が大好きになりました。今後は町内の食材を活用したドーナツの開発も視野に、地域に根差した活動を展開していきたいと考えています。活動の原点であるくりふとの賑わいにもつながるよう、これからも活動を続けていきます。

▼たこ焼きのお多幸ちゃん
麻生雄司(あそうゆうじ)さん(沼田町在住)
▽誰もが味わえる理想のたこ焼きの道へ
ヤムズキッチン時代から出店しており、顔なじみのお客様が少しずつ増え、親しみを持っていただけるようになったと感じています。出店では、お客様のニーズや提供までの流れ、イベント時の対応など、多くのことを学ばせていただいています。
「沼田町から通うのは大変じゃない?」とお客様からよく聞かれますが、地元(芽室町)と似た雰囲気があり、栗山町での活動は居心地がとてもよく、大好きです。
屋号である「お多幸ちゃん」には、アレルギーや体質に関わらず、多くの人が食べられるメニューを提供したいという願いを込めています。現在は、米粉100%のたこ焼きや卵未使用のたこ焼きにもチャレンジしており、近くメニューに追加予定です。
夢は自分のお店を持つことですが、まずは目の前の目標に丁寧に向き合いながら、多くの方に私の味を楽しんでいただきたいと考えています。

▼スコーン専門店「ろっくす」
岩崎(いわさき)かなえさん(栗山町在住)
▽ワークショップで心地よい時間を皆さんに
以前は保育関係の仕事をしていましたが、体調を崩してしまったとき、気分転換に大好きなスコーンを作ったことが、すべての始まりでした。
味や材料の研究にもすっかり夢中になり、おすそ分けした友人の反応をいつも楽しみにしている自分に気づきました。
その後、仕事を退職し、本業とは別の副業として食の活動ができる拠点を探していたところ、くりふとキッチンで「好きなことをやりたい」と思い、活動を始めました。
活動を始めて一年が経ち、少しずつ軌道に乗り始めるなかで、「作り手だけが知っている、焼きたてのスコーンならではの美味しさを、多くの人に味わってほしい」と感じ、キッチン内で料理講座(ワークショップ)もスタートしました。悩みや疲れを抱えた方も、おいしく作って食べる心地よい時間を多くの人に感じてほしいと思います。