くらし 議会だより No.192(2)

◆静川議員
○スマート農業
Q.質問
農業人口が減り、1戸当たりの農業者の経営面積が拡大していく中、農業の効率を高めるための手段の一つとしてスマート農業の普及展開が必要とされている。
国が重要視している農業転換期における「スマート農業技術活用促進法」や、スマート農業には欠かせないGPS機能を踏まえ、RTK基地局の設置など、本町の基幹産業、農業について町長の考えは。
※RTK…GPS衛星からの電波を直接及び基地局経由の2系統から受信することで、より高精度な位置情報をリアルタイムで得られる技術。

A.町長答弁
経営形態や条件により耕作可能面積に差はあるが、農業者自身の高齢化や後継者問題、雇用環境の悪化も重なり、これ以上の規模拡大は難しいと判断されている方が多いと考えている。
その対応策として農作業の合理化・省力化が不可欠であり、今回の法施行によりスマート農業が一層促進され支援策が充実されることは、本町のこれまでの取り組みとも合致し、後押しとなることを期待するものである。本町では、令和3年度に自動操舵補助システムやGPS機能付きの田植え機、ドローンなどの機器導入に利用できる補助事業「農業活性化支援事業」を制度化し積極的に活用されているので、今後もスマート農業技術を推進し基幹産業である農業を守るため、課題解決に向けて取り組みを進めていく。
RTK基地局の設置については、ガイダンスシステムやロボットトラクターなどのスマート農業機器においてGPSやその誤差を補正するRTKを利用することにより、ほ場の正確な位置を測定し精密な農作業や自動運転を可能としている。
現在はホクレン設置の基地局を利用していて、町内の大半はカバーされていると認識しているが、一部地域においては安定しない、あるいは受信できないなどの状況にあることを確認している。各受信方式により初期投資や運用面で大きな差があるため、将来的に必要と判断した際には単に不感地区の完全解消を目指すのではなく、コスト面や求められる精度などを総合的に判断し、現実的な方式を検討していく。

○通学路の安全性
Q.質問
子どもたちが安心して学校に通える環境を整えることは町の義務だと思っている。通学路の安全点検の実施、学校関係者との協議、通学路における防犯カメラ設置の現状と今後について伺う。

A.教育長答弁
通学路の安全点検については、平成30年9月に設置した浦臼町登下校安全安心連絡会で策定された「浦臼町登下校安全安心プログラム」を基本とし、令和3年9月に合同点検を行い、危険箇所及びその対応について取りまとめ報告をしていて、必要に応じ適宜点検等を行なうこととしている。学校との協議は、毎月定例で行っている校長会議及び教頭会議において登下校時の安全確保やルール確認の徹底をお願いしている。
防犯カメラについては主要な公共施設10箇所に設置しているが、通学路は一部しかカバーできていないのが現状である。防犯カメラは通学路の安全性向上の有効手段であると考えるが、設置に当たっては町担当課と協議の上、進めていく必要があると考えている。

○農地の価格
Q.質問
農産物を取り巻く物価が高騰している。農地の売買価格や賃借料の決定について、農業委員会の考え方は。

A.農業委員会会長答弁
10a当たりの単価は、売買では中田(ちゅうでん)平均は約26万円、中畑(ちゅうばた)平均は約3万円前後で推移していて、価格には大きな変動は見られない。また、賃貸料も同様で、中田平均が約1万円、中畑平均が約3千円で安定している。
農地の売買については、後継者不足や相続、資産運用といった要因で売買が活性化する一方、農業の生産性や持続可能性を支える適正な流通が確保される必要がある。地価の高騰が続くと新規就農者の参入障壁となり、地域の生産基盤が脆弱化する恐れがあるので、今後の農業情勢を注視し、適正な市場流通が促進されるよう努めていく。

◆砂場議員
○クマ被害、町の対応
Q.質問
近年、クマの出没が頻発し、住民の生命・財産に対する脅威が高まっている。クマの問題は直接的な被害の農作物被害や人的被害があり、行政による迅速な対応が求められる。
一方で、クマの駆除に対して全国から苦情電話が寄せられ、職員の業務に支障を来たす事例もある。浦臼町でも足跡が発見され、いつクマの被害が起きてもおかしくない。
今後、重大な被害があった場合に報道があれば、町に矛先が向けられないとは考えにくい。クマの対応と同時に、苦情の対応も考えなければ職員の職務にも影響が及ぶ。
9月1日からは改正鳥獣保護管理法が施行され、住民の安全が確保できるなどの条件を満たしていれば、自治体がハンターに対して市街地での発砲、いわゆる「緊急銃猟」を委託して実施させることができる。
クマ出没の際、その周知や対策、駆除において、最終的な発報許可も含めどのような流れで行うのか。また、クマの駆除に関してカスハラと捉えられる苦情があった場合、毅然とした対応を許可するか。

A.町長答弁
緊急銃猟は、市町村長がクマ等の危険鳥獣が人の生命・身体に対する危害を防止する処置が緊急に必要で、銃猟以外の方法では的確かつ迅速に捕獲することが困難であり、避難等によって地域住民に弾丸が到達する恐れがない場合は、銃猟を捕獲者に委託して実施させることができる。
現場の意思決定は、責任者を置き、警察・猟友会・振興局・町職員が連携する。現場の状況は無線等で即時共有され、区域の安全確保・避難誘導・周辺住民への通知などの初動対応を並行して進める。発砲の判断は単独の責任者だけではなく、現場関係機関の同意を得る、現場の安全が最大限確保されている場合に射撃を行う。
緊急銃猟の権限は町長にあり、緊急銃猟の実施に伴う損失については町が補償する。
苦情への対応は、町民の生命への危険や財産への被害が生ずる恐れがある個体を「問題個体」と判断の上駆除するものであり、やむを得ず必要な措置であったことを説明し、理解をいただく。
カスハラへの対応は、カスハラ行為が確認された場合、組織として毅然と対応することを定めている「北海道カスタマーハラスメント防止条例に係る指針」を参考に、本町の実情に合ったカスハラ全般にわたる対策を定めることになる。

Q.再質問
緊急銃猟には補償という問題が出てくる。
いざ危険が迫って町長に判断が委ねられたとき、発砲の許可を出す意思はあるのか。
苦情には職員の毅然とした対応を望むが、上回る苦情が寄せられると職員の判断も難しい。町長が職員向けに、毅然とした対応を取っていいとの意向を示すことが大事ではないか。

A.町長再答弁
発砲許可は最終手段で、生命・財産に関わる事態に発展する場合は発砲を許可する。
電話を切っても、結局またかかってくる。今の段階ですぐ切るようには言えない。相手に了解してもらえるよう対応をするが、限度を超えた場合は個別に判断する。

A.産業課長答弁
発砲の許可は町長がするが、実際は現場の担当者が判断し発砲の許可を出す。
緊急銃猟は町の判断なので、補償は町が一切を補償する。そのために保険加入も進められている。