健康 「認知症は高齢者の病気」と思っていませんか?

10月9日、楽楽心にて北海道主催の「若年性認知症の当事者を支える研修会」が開催され、宗谷管内の日頃から認知症支援に携わる医療・介護・福祉従事者20名が参加しました。講師として札幌市にあるNPO法人「北海道若年認知症の人と家族の会」から3名が来村され、前半は若年性認知症支援コーディネーターの平野憲子氏による講義が行われ、後半は同じくコーディネーターの森林美恵子氏の進行によるグループワークが行われました。グループワークでは実際に「北海道若年認知症の人と家族の会」の方々が支援で関わった事例をもとに、認知症と診断されても自分たちで抱え込まず、専門の支援機関にすぐ相談する必要性や、本人・家族も仕事を辞めてしまう前に専門機関を活用し、社会とつながる機会を残しておくことが大切であるといったことが話し合われました。

■若年性認知症とは?
64歳以下に発症する認知症の総称のことであり、有病率は18~64歳の人口10万人あたり約50人とされています。これは2000人に1人の確率であり、猿払村でも発症者が現れる可能性は十分にあります。

■若年性認知症の特徴
若年性認知症は通常の認知症同様、「アルツハイマー型認知症」や「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」など様々な種類があります。一番発症数が多いのはアルツハイマー型ですが、若年性認知症の割合が多く見られるのが「前頭側頭型認知症」です。これは一般的な物忘れといった記憶障害などは目立たず、人格の変化やこだわりの強さ、対人スキルの低下など、一見するとわかりにくい症状が出るのが特徴です。ゆえに、なかなか介護や福祉に対する抵抗感などからサービスに繋がることが難しく、介護家族の負担が増えてしまい、体調を崩したり、仕事を辞めざるを得ないケースも少なくありません。

■若年性認知症の困難性
働き盛りの年齢で発症し職を失ってしまった場合、教育費や住宅ローンの支払いなどによる経済的負担や様々な社会的喪失により生活の困難性が上がってしまいます。また、50代で発症した場合、その配偶者が自身の親と発症者の介護が重なり、さらにはその子どもが介護に参加しなければならないなど、介護者の負担が大きくなる傾向があります。有病率の少なさから、支援の経験や理解が不足しているといった課題も抱えています。

◆担当職員から もしも、自分の家族や職場の人が認知症になったら
地域包括支援センター業務係 社会福祉士 山口 潤
若年性認知症は年齢の若さゆえに理解されづらく、本人・家族だけで抱え込んでしまう傾向にあります。そのため、当事者だけではなく周りの人が気付けるよう、若年性認知症に対する地域社会全体の理解を広める必要があります。
私たちの仕事には様々な制度を利用しながら当事者と地域、福祉サービスを繋げる役割があり、どうしたら在宅で暮らしていけるのか、その人が望む暮らしをしていけるのかを考える仕事でもあります。会社への説明を地域包括支援センターが担ったり、当事者に新しい役割や価値観を持ってもらうための取り組みなどを行いながら、当事者にとって一番良い暮らし方を一緒に探し、考えていければと思います。
自身や身近な人の発症に気が付いても、相談まで踏み込めずに一人で抱え込み、頑張りすぎてしまうといったケースもあります。一人で悩まず、まずは地域包括支援センターに相談してみてください。

問合せ:地域包括支援センター
【電話】2-2090