文化 なかさつない 美しい村連合通信(vol.27)

■受け継がれた手仕事が奏でる趣に、『美しい村』の佇まいを見る。

先日、美しい村連合主催の視察で、長野県の原村(はらむら)を訪れました。原村は八ヶ岳の山麓にある高原地帯で、セロリやレタスなどの栽培が盛んです。別荘やカフェも多く、避暑地として人気の場所です。見渡す限り広がる日本アルプスの山々がとても美しい場所ですが、今回最も心を動かされたのは「裂織(さきおり)」という伝統工芸でした。
裂織は、着古した着物を細く裂き、それを緯よこ糸にして機織(はたおり)する工法のことです。農閑期である冬の手仕事として継承されてきましたが、一時は消滅の危機に。その後、原村の貴重な地域資源として見直され、現在は大切に保護されています。
「この文化をなんとか残していきたいという想いでやっています」と語ってくださったのは工房の主人である牛山よしみさん。80歳を超えているとは思えないほど大変お元気で、背筋がしゃきっと伸びた方でした。
説明を聞いた後はお弟子さんたちに教えていただきながら裂織を体験しました。かつての所有者の思い出が残る布地を織り重ねていくと、素朴で優しい色合いの模様が生み出されていきます。
日差しの入る縁側で作業をしながらふと顔を上げると、お庭には早咲きのコスモスが風に揺れていました。裂織の作品が並ぶ築後100年ほどの古民家も大変味わい深く、皆さんの笑顔も含めて非常に心癒される空間でした。
子どもたち向けの体験会も開催しているそうで、この技術とともに心地よい場所、そしてこの美しい風景が長く続いていくよう願っています。

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