健康 今月の保健師 若松理乃さん

育児休業をいただいていましたが、おかげさまで4月1日から復帰しました。今後ともよろしくお願いします。

■「禁煙をして健康を取り戻そう‼」
5月は世界禁煙デーです。好きなものや習慣になっているものをやめるのは大変ですよね。禁煙するきっかけも必要だと思います。
たばこで有名な病気だとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)がありますが、他にも口に対する害もあります。タバコの煙を吸うことにより気管支に炎症が起きて、咳や痰が出たり、気管支が細くなることによって空気の流れが悪くなります。また、ぶどうの房状の小さな袋である肺胞が破壊されると肺気腫になり、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。このような状態になると治療によっても元に戻ることはありません。
たばこの怖いところは依存性があるところ。要因として、ニコチンにより脳内のドーパミンが過剰に放出されるようになり、α波が低下(リラックスできなくなる)するためタバコを吸わなかった時と比べると幸福感を得にくくなってしまい、タバコを吸わないと、落ち着かない、イライラする、集中できない、ストレス解消・気分転換できないとなってくるのです。そして、20分くらいでニコチンは減少し、体がタバコを求め始めます。ニコチンは、たばこへの依存性を高める化学物質です。やめる困難さや離脱症状の厳しさは、ヘロインやコカインなどの薬物と同等の特徴と強度と言われています。
また、タバコの煙には3500種類もの化学物質が含まれています。その中の70種類には発がん物質も含まれています。副流煙(タバコの先から立ち上る煙)はアルカリ性のため、刺激が強く、くしゃみ、鼻水、咳が誘発されます。さらに、目も痛くなり、涙も出てきます。発がん物質が主流煙(タバコを吸う人が直接吸い込む煙)には50倍以上多く含まれ、一酸化炭素も多いことから心筋梗塞の危険性が高くなります。「それって紙タバコの話でしょー。加熱式タバコならいいんじゃない?」と思っている人もいるかもしれません。実は加熱式タバコは、タールは紙タバコの2分の1、ニコチンは同じかそれ以上、ホルムアルデヒドなどの有害物質もたくさん入っているので、どちらもいいとは言えないようです。
「今からやめて効果あるの?」と思うかもしれません。「禁煙は性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらす」と言われていますので、遅すぎることはありません。
具体的にタバコをやめてからの変化として上の表の効果があります。これらのことから、やめようと思った時がやめ時ということになります。
禁煙の相談は、禁煙外来などがあります。また、健康推進係でも相談できますので気軽にご相談ください。(【電話】482-2935)

口臭:原因として、タールによるタバコ臭とニコチンによる口の渇きによって起こります。また、喫煙すると唾液が少なくなり口の中が汚れ、細菌が増えます。これらの理由から口臭が起こります。
歯周病:ニコチンによって血流が阻害され、一酸化炭素が自然治癒を妨げます。喫煙者は非喫煙者と比べ歯石が多く、歯周ポケットが深く、その数も多いので歯周病になりやすくなります。
味覚:喫煙により舌にある味覚を感じる部分が麻痺してしまいます。そのため、通常の味付けよりも濃い味を好むようになってしまいます。

▽禁煙してからの経過時間・健康上の好ましい変化
・20分以内…心拍数と血圧の低下
・12時間以内…血中一酸化炭素が低下し正常値に
・2~12週間…血液循環が改善し肺機能の向上
・1~9カ月…咳や息切れの減少
・1年…冠動脈性心疾患のリスクが半分に低下
・5年…禁煙後5~15年で脳卒中のリスクが非喫煙者と同等に
・10年…肺がんのリスクが約半分に低下。口腔、咽喉頭、食道、膀胱、子宮頚部、すい臓がんのリスクも低下
・15年…冠動脈性心疾患のリスクが非喫煙者と同等に