くらし 【特集】令和型給食のスタンダードを目指して(1)

これまで、市内の多くの学校では自校調理式で給食を提供していました。
しかし、昭和50年代に建設されたこれらの給食施設は、築年数が40年を経過し、老朽化が進み、学校給食法に基づく「学校給食衛生管理基準」と照らし合わせると改善すべき点が多数ありました。
また、近年全国的に災害が頻発していることから、市民の防災意識も年々高まっており、防災対策の充実が求められていました。
そこで、平時には学校への給食の提供、災害時には応急給食施設として機能するとともに、食育の推進などの機能を合わせ持つ複合的な施設として「むつ市防災食育センター」を建設しました。
令和7年4月8日、最新の設備と徹底した衛生管理のもと、防災食育センターからの給食の提供が開始されました。センターの2階からは、3層シンクで葉物野菜を一枚ずつ手洗いする下処理の様子や、大きな回転釜で肉や野菜を炒める様子、汁物などを調理する様子が見学できます。
さらに、栄養士による世代に合わせた講話や、大型調理器具を使用した給食調理の疑似体験などのプログラムも用意されており、防災食育センターは「食育」の拠点施設としても新たに動き始めています。

《名称》むつ市防災食育センター
《所在地》むつ市大字関根字北関根133番地1
《建築構造》鉄骨造2階建て
《敷地面積》14,010.99平方メートル
《建築面積》2,207.57平方メートル
《延床面積》2,607.24平方メートル
《工事期間》
着工:令和5年6月30日
完成:令和7年2月14日
《調理能力》
災害時:約9,000食/日(おにぎり、汁物)を3日間
平時:約3,500食/日
アレルギー対応専用室あり3,000kgの米を備蓄可能
《運用方法》ドライシステム
《運営方式》業務委託:一般財団法人むつ市教育福祉振興会
《対象校》
【小学校:7校】第一田名部小学校、第二田名部小学校、苫生小学校、奥内小学校関根小学校、大平小学校、大畑小学校
【中学校:6校】田名部中学校、むつ中学校、近川中学校、関根中学校、大平中学校大畑中学校
【その他:1校】青森県立むつ養護学校
《その他》災害時には駐車場を防災広場として活用予定・炊き出し、給水車・電源車の活動スペース・救援物資の輸送拠点、災害活動派遣要員の活動拠点・ドクターヘリのランデブーポイント
※令和9年度から第三田名部小学校(現在は自校で調理)へも配送予定。
※大湊小学校、川内小学校、脇野沢小学校、大湊中学校、川内中学校、脇野沢中学校へは、西通学校給食センターから配送している。

■「食育指導」~食と健康~
11月6日、大平中学校の2年生の生徒67人に対し、栄養教諭から「食と健康」をテーマに食育指導が行なわれました。
徳川幕府初代将軍である家康公が、平均寿命が40歳前後と言われる江戸時代に75歳まで長生きしたのは、1.旬の食材を重視 2.質の高い粗食 3.肉はほどほどに摂取 4.冷たいものより温かいもの 5.固いものをよく噛んで食べる等、健康へ高い意識をもっていたからという説明を生徒たちは興味深げに聞いていました。

■おいしい給食みんなで考えよう!中学生×むつ市長給食ミーティング
11月6日、関根中学校で市長を交えてランチミーティングが開催されました。
全校生徒は、10月31日の防災食育センターの施設見学の感想や、食と生活習慣病の係わりをテーマにした食育指導での学びについて意見交換しながら、賑やかに給食を食べていました。
生徒からは、「給食のメニューはどうやって決めているのか」「もっとフルーツを出して欲しい」といった質問や要望があり、市長からは「基準となる栄養バランスや予算はあるものの、地元産の食材を使いながら、みなさんが食べたいと思う給食について考えていきたい。」との発言がありました。

■食べ残しが少ない時は思わずガッツポーズ!
一般財団法人 むつ市教育福祉振興会 扇谷調理課長
Q.調理課長はどのような業務を担当していますか?
A.調理課長として、調理従事員の配置や調理工程を決定するほか、洗剤等の消耗品の管理・発注、月次報告書の作成など総括として調理以外の業務も行なっています。休みの調理従事員がいるときは、その調理従事員の代わりに調理に携わります。

Q.どんなときにやりがいを感じますか?
A.なにより「おいしい」「おいしくなった」の感想をもらえたときですね。しかし、直接感想を聞くことがなかなかないので、食べ残しの量で判断しています。食べ残しが少ないとガッツポーズがでますね!あとは作業工程が多い献立を効率よく調理できたときや、想定外のことが起きたときに臨機応変に対応して解決できたときにもやりがいを感じます。

Q.給食を食べているこどもたちにメッセージをお願いします。
A.「給食のおじちゃん・おばちゃん」ではなく「調理従事員」として責任感を持ってみなさんに安全・安心な給食を届けることが我々の役割と思い調理しています。調理従事員以外にも栄養教諭、栄養士、食材の納入業者、配送員などたくさんの人が携わっています。給食に携わっている職員一人ひとりの想いが込められていますので、みなさんには一口でも多く給食を食べていただけるととても嬉しいです。