くらし 【Think with ぷーま!】「縮充」って聞いたことありますか?

地域プロジェクトマネージャー
周布 祐馬

こんにちは、地域プロジェクトマネージャーの『ぷーま』こと周布祐馬です。人口減少が進む現代にあって最近しばしば耳にするようになった「縮充(しゅくじゅう)」という考え方についてご紹介したいと思います。

■現代社会における縮充とは?
縮充という言葉、あまり聞きなれない方も多いのでは?と思います。実は僕もその一人でした。縮充とは、本来は毛織物の加工に関する言葉ですが、現代社会では、「地域コミュニティを持続させるために必要な最低限の人口を維持するとともに、人口が減っても豊かに暮らしていける仕組みづくり(島根大学・作野広和教授)」という定義もされています。
つまり、社会や地域、生活が「縮小」していくことを悲観的に捉えるのではなく、縮小の中でも自ら幸せと感じる生き方や暮らし方を模索していくこと。身の丈にあった暮らしを継続していくことで「充実」した社会を目指していくことが現代社会における「縮充」と考えられています。

■今別町における縮充
当町で最近話題となった縮充に関わるニュースといえば、津軽線のバス路線転換ではないでしょうか。住民の移動手段を完全に廃止してしまえばそれは「縮小」ですが、今回は利用状況に合わせてバス路線に転換することで移動手段が維持されています。利用者が減っても形を変えて住民の移動手段を維持する。まさに「縮充」だと思います。
また今後縮充の議論が必要になるものとして、荒馬があるかと思います。現在、毎年夏の荒馬運行は各保存会メンバーの頑張りによってなんとか開催できていますが、規模は次第に縮小を余儀なくされています。保存会や協力者が減少する中、如何に荒馬の運行を維持するか。これは大きな課題です。
この課題を縮充という視点で考えてみるとこんなアイデアも出てきます。縮充の実現手段の一つに「参加」があります。そうです。ねぶたの運行にももっと参加者を増やせばいいのです。しかし簡単には参加者は増えないでしょう。ではどうすればいいのか?こういったアイデアはいかがでしょうか。保存会メンバーが、自分たちの運行だけでなく隣の保存会の運行にも参加するといったアイデアです。もちろんそうなると同日開催が難しくなるなどクリアしなければならない壁もありますが、運行自体ができなくなることを考えれば、少し知恵を絞ってみる価値はあるように思います。

■あなたも「しあわせのものさし」を見つけよう!
今回は「縮充」という言葉について考えてみました。現在急速に人口減が進んでいる当町ですが、行政・民間問わず皆で知恵を出し合えばまだまだ充実した暮らしはできると思います。これまでは何でも「増やす」「拡大する」ことが良しとされてきた風潮が大勢を占めていたように思います。しかし次の時代は「増やす」「拡大する」ではない新たな価値観に基づいた「しあわせのものさし」を一人ひとりが持つ必要があるように感じています。
この「しあわせのものさし」を見つけることができれば、きっとそこにはいつまでも充実した暮らしが待っているはずです。