- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県一関市
- 広報紙名 : 広報いちのせき「i-Style」 令和7年9月号
■伝統を大切に新しいことにもチャレンジ 食文化を通して地元を活気づけたい
冬に作って保存し、農作業の合間のおやつに食べられてきた伝統食・凍(し)み餅。作り手が減少する中、母から受け継いだ技で20年以上作り続け、令和6年度県の「食の匠(たくみ)」に認定されました。「毎年楽しみに待ってくれている人たちのためにも作り続けていかないと」と伝承への意欲を新たにしています。
コメや多品目の野菜を育てる農家。凍み餅を作るのは例年1月半ばごろで、切り餅を湯にくぐらせ、屋外につるして凍らせる工程を繰り返して完成させます。暖冬でも安定して製造するために冷凍庫を導入したり、クルミやピーナツ入りなど味のバリエーションを増やしたり、油で揚げておかき風にしたり。母の教えをベースにしつつ、時代に合わせた挑戦を大切にしています。
普段は旬の野菜を生かした総菜や弁当を製造し、道の駅に出荷。「規格外の野菜を捨てたくない」と、地元の仲間と共に無駄なくおいしく加工し、喜んでもらうことにやりがいを感じています。「人が集まって一緒に何かやれば、食の知恵は自然に伝わっていく」。楽しみながら食文化を継承し、地元の盛り上げにつなげています。
▽凍み餅を伝承する食の匠
加藤敏子(かとう・としこ)さん 64(大東)
Profile
昭和36年、大東生まれ。保育所や福祉施設での調理業務に長年従事した経験を持ち、調理師、給食用特殊料理専門調理師、もちマイスター。農産加工品開発などに取り組む女性グループ「かあちゃん’S」でも活動。早朝の愛犬の散歩と、週に1度の詩吟教室でリフレッシュ。