くらし 【特集2】仙台市の財政状況 ―令和6年度決算から

令和6年度決算が市議会で認定されました。決算は、1年間の市の収入や支出の実績をまとめたものです。
市の会計は、一般会計・特別会計・企業会計の3種類に分かれていますが、ここでは、市の基本的な行政サービスに関わる一般会計の決算についてお知らせします。

■歳入(収入)
固定資産税・都市計画税などの市税や地方交付税の増加などにより、収入総額は令和5年度から323億円増加し、6,271億円となりました。

市税…土地の評価替えや家屋の新増築などによる固定資産税・都市計画税の増加などにより、前年度から39億円増加
国庫支出金…物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の増加などにより、前年度から17億円増加
地方交付税…普通交付税の増加などにより、前年度から64億円増加
その他…定額減税による減収補塡(ほてん)特例交付金の増加などにより、前年度から162億円増加

単位:億円
( )内は令和5年度の金額

■歳出(支出)
小・中学校校舎の新増改築費の増加や定額減税補足給付金などにより、支出総額は令和5年度から328億円増加し、6,190億円となりました。

健康福祉費…施設型給付費や衛生研究所施設整備費の増加などにより、前年度から38億円増加
教育費…小・中学校校舎の新増改築費の増加などにより、前年度から94億円増加
土木費…鶴ケ谷第二市営住宅再整備費の増加などにより、前年度から60億円増加
総務費…定額減税補足給付金や市庁舎整備基金の造成積立金の増加などにより、前年度から84億円増加

単位:億円
( )内は令和5年度の金額

▽令和6年度の主な事業

■市債(借入金)の残高
一般会計の市債残高は、臨時財政対策債※以外の残高が、衛生研究所施設整備債の増加などの影響により104億円増加した一方で、臨時財政対策債の市債残高が124億円減少したため、全体では前年度から20億円減少しました。
※臨時財政対策債…本来、国が交付すべき地方交付税の不足分を補うために発行する市債であり、後年度、返済のための財源が国から手当てされます

▽図1 市債残高の推移

市債は主に、道路や学校など長い期間にわたって利用される施設などの建設費用に充てられます。市債を発行することで、施設などを利用する将来の世代にも負担していただき、世代間の公平性を確保します。

■健全化判断比率と経常収支比率から見る財政状況
地方自治体の「赤字」や「将来負担」などを把握し、健全化へ向けた取り組みが必要かを判断するための指標として「健全化判断比率」(表1)があります。これは、4つの財政指標で構成されています。

▽表1 健全化判断比率

〔 〕内は令和5年度決算の値

令和6年度決算に基づく本市の健全化判断比率は、いずれも国の定める早期健全化基準を下回っており、おおむね適正な水準にあるといえます。
一方、財政の硬直度を示す指標として「経常収支比率」があります。この比率が高いほど政策的な経費に回す財源が少なくなり、財政構造の弾力性が低いということになります。
令和6年度決算に基づく本市の経常収支比率は98・8パーセントと引き続き高い水準にあり、本市の財政は硬直化している状況にあることを示しています。

■東日本大震災関連の歳出
震災関連の歳出は、東部地域移転跡地の利活用推進などにより、55億円となりました。引き続き、復興に向けた各種の取り組みを着実に推進します。

■今後の財政運営
令和6年度は「ひと中心のまちづくり」を世界に通用するステージへと押し上げていくため、切れ目のない子育て支援や個性に応じた保育・教育の環境整備、地域経済の持続的発展に向けた事業者支援、交流人口の拡大に向けた観光資源の充実、ダイバーシティの推進など、各般の施策に取り組むとともに、物価高の影響を受ける市民生活や事業活動を支援するための事業も実施してきました。
物価の見通しは依然として不透明な状況ではあるものの、市税収入などの主要一般財源はおおむね堅調に推移する見通しです。一方、本格的な少子高齢社会の到来などに伴う社会保障関係費や公共施設の長寿命化対策費などの増加も見込まれていることから、本市の財政運営は今後も厳しい局面が続く見通しです。
このような中においても、本市の未来に向けたさまざまな施策を展開していくためには、地域経済の活性化や成長促進による税収の増加を目指すとともに、外部資金の獲得、事務事業の見直しや効率化の徹底など、歳入・歳出両面におけるあらゆる方策に取り組み、持続可能な財政基盤を確立していく必要があります。
また、今後は本庁舎建て替えや音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点複合施設整備などの大規模事業が本格化しますが、事業費の圧縮や年度間の平準化、国からの財政支援や基金の活用などにより、投資的経費に係る本市の財政負担は平準化され、実質公債費比率も国の基準を十分下回る水準となる見込みです。
こうした取り組みを不断に積み重ねていくことで、市民サービスの維持向上と将来のまちづくりへの投資を両立させていきます。

問合せ:財政企画課
【電話】214・8111【FAX】262・6709