くらし キラリと光るかくだ星 未来の角田市を担う人を紹介

『角田の風景と人の温かさを『味わい』に』

クラフトビール「角田のまど」企画提案者
粟野(あわの)ひよりさん(22歳)

10月25日、道の駅かくだでクラフトビール「角田のまど」が販売されました。この企画の提案者は藤尾地区出身の粟野ひよりさんです。
大学進学を機に角田市を離れた粟野さんは、「角田にはたくさんの魅力があるのに、市外では知られていない。地元の良さをもっと多くの人に伝えたい」という思いを強くしました。
旅先で飲んだクラフトビールが、その土地の風景や出会いを思い出させてくれた体験から「角田を訪れた人がまちの記憶を持ち帰れるものをつくりたい」と企画を立ち上げました。角田の風景や人の温かさを『味わい』として形にし、飲んだ人の心に角田を残すことを目指しました。
今年5月に石巻市内の醸造所に相談し、7月には道の駅かくだで「心に残る角田の風景」をテーマに意見を募集。寄せられた声をもとに、阿武隈川、広がる田畑、スペースタワー、H-2ロケット実物大模型、阿武隈急行線などをデザインし「角田らしさ」が伝わるようなラベルを大学の仲間とともに作成しました。
完成したビールを初めて口にした瞬間、これまで支えてくれた多くの人の顔が浮かび、胸がいっぱいになったと言います。角田産の米「つや姫」を原料に使ったビールは、やわらかな甘味とすっきりとした苦味があり、「まさに角田らしい、優しく芯のある味」と感じたそうです。
販売会では、SNSなどのPR効果もあって当初の予定より多い200本を1時間程度で完売。「『角田のまど』を手に取った人の笑顔を間近で見て、角田でこのビールをつくって良かったと心から思った」と語ります。
今後は、市内の飲食店と一緒にイベントを企画し、食と人をつなげていきたいと話します。さらに、角田の特産品を生かした新たなビールづくりにも挑戦し、季節ごとに角田を感じる味を生み出したいという夢もあるそうです。
4月から社会人として新しい世界へ踏み出す粟野さん。「ビールづくりを通じて得た経験を仕事にも生かしていきたい」と力強く話してくれました。

・座右の銘「発想に体温を宿す」
どんなに良いアイデアでも、そこに人の気持ちがなければ誰の心にも届かない。だからこそ、アイデアの中に「体温=人らしさ」を吹き込み、温もりのあるものをつくりたいと話します。
角田は「人とのつながりが近いまち」。顔の見える関係があり、困ったときは誰かが手を差し伸べてくれる温かさが自然と息づいていると感じるそうです。