- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県多賀城市
- 広報紙名 : 広報多賀城 令和7年7月号
■収蔵庫の宝物 職員のイチオシ資料紹介
□双龍環頭大刀柄頭(そうりゅうかんとうたちつかがしら)
市川橋遺跡城南地区で出土した、刀の柄(つか)の部分にあしらわれた装飾の一部です。古墳時代の終わり頃に製作されたもので、玉を咥(くわ)える龍を象(かたど)り、金メッキが施されています。片方の龍は失われていますが、元々は一対の龍が向かい合って一つの玉を咥えるデザインであったと考えられます。
双龍環頭大刀は腰にさげるものではなく、所有者の権威を示すものとして、柄頭を上にし、杖のように持って使いました。日本で双龍環頭大刀がつくられたのは6世紀前半から7世紀前半頃までの間で、当初立体的だった龍の図像が、次第に簡略化して平らになっていきます。城南地区で出土したこの資料は、平らになりきっておらず、6世紀末頃の特徴を示しています。
多賀城がつくられる100年以上前、現在の城南、山王、南宮地区一帯では地域経営の拠点的な集落が営まれ、現在多賀城南門が復元されている丘には、死者を葬った横穴墓(よこあなぼ)もつくられています。こうした集落や墓域を掌握(しょうあく)した有力者は、中央政府や他地域の有力者と関係を結ぶことで、双龍環頭大刀など、自らの権威を示す品を入手したと考えられます。
※紹介した資料は、7月末まで埋蔵文化財調査センター展示室で見ることができます。
問合せ:埋蔵文化財調査センター
【電話】368-0134