文化 【特集】時代を越えて民話をつなぐ(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県栗原市
- 広報紙名 : 広報くりはら 令和8年3月号
民話。それは昔、私たちの暮らしの中にある、子どもたちの貴重な楽しみでした。
しかし、現在、家庭などで民話が語られることは、ほとんどなくなりました。それでも、市内には、伝承されてきた民話とその価値を残そうと、今日もひた向きに民話と向き合う人たちがいます。今月は、民話の伝承に取り組む人たちを紹介します。
■[Interview]民話の伝承に危機感
みやぎ民話の会 代表 島津 信子 さん
民話の語り手やその団体とゆるやかにつながり、民話を伝え続ける、みやぎ民話の会の島津代表に、県内の民話の伝承状況を伺いました。
◇本格的な民話が残る栗原
みやぎ民話の会は、県内各地を訪ね歩き、民話の語り手から聞いた民話や唄を本や音声データにまとめる活動を50年以上に渡り続けてきました。
栗原市など、県北部では、語りの最後に「えんつこもんつこさげだ」など、結びの句が入る形式があるなど、体系化され、本格的な民話が語り継がれてきた地域です。これは、冬が長く、家の中にいる時間が長かったことから、たくさんの民話が語られてきたのかもしれません。
◇先細る民話の伝承
これまでの活動から、県内の民話を伝承する語り手やその団体とつながりを保ってきましたが、最近、気になることがあります。それは、郵送で県内各地の語り手や団体にイベント案内を送ると、戻ってきたり、高齢により車を手放しイベントに参加できないと言われることが多くなったことです。これは、語り手が高齢化などで民話の伝承活動ができなくなっていることが考えられます。
以前は、民話を聞くことや語ることが好きな人など、民話に興味を持つ人がいましたが、最近では少なくなり、伝承活動にも若い人が入ってこない状況です。
■[Interview]民話は「栗原の財産」。それを伝え残したい
くりこまの昔ばなしを語る会 会長 髙橋 敬子 さん(栗駒田高田)
市内で民話の伝承を続けるくりこまの昔ばなしを語る会の髙橋会長に、活動の現状を伺いました。
◇活動の現状
くりこまの昔ばなしを語る会は、今から21年前に誕生しました。発足当初は、8人でスタートしましたが、高齢化が進み、現在では、80代から90代の4人で活動しています。
また、所属する栗原市栗駒史談会の協力により、活動拠点の栗駒みちのく伝創館を会場に「くりこまの昔ばなしを語る会」を開催し、毎年、民話の伝承を続けています。
その他、少なくなりましたが、依頼があれば年間で3回程度会場へ赴いて民話を語ることもしています。
10年ほど前まで、若柳地区や一迫地区の伝承団体と共に年に一度、合同で民話を語る会を開催するなど、市内では、民話を伝承する活動が盛んに行われていました。しかし、現在、高齢化に加え、コロナ禍による活動の停滞が伝承活動にブレーキをかけ、市内で団体として活動するのは、私たちが唯一になりました。
◇活動を止めようか
以前、広報紙などで会員募集をしましたが集まらず、実は先日「活動を止めようか」、「もう、年だし、コロナ前よりも依頼も少なくなったし」。そのような相談を一緒に活動する3人にしました。「でも、せっかくここまできたんだから、死ぬまでやっぺし」、「もっと勉強するから」と、メンバーたちに諭されました。私も含めて「みんな民話が好き」なのです。
◇民話は栗原の財産
民話には、必ず「落ち」があります。それは、人が生きる上で大切な教訓になっています。悪いことをするとどうなるかなど、民話を聞く子どもたちの心に、自然と道徳心が養われることも魅力です。
さらに、民話は、その土地の人々の暮らしぶりや、地名のいわれなどを今に伝えます。市内に伝わる民話は、昔、栗原で暮らした人々の息遣いであり、栗原の財産だと思います。
この財産を残したくても、伝える人がいないと伝わりません。栗原の財産を持って、あの世へ行くにはもったいない。だから、民話をつないでくれる人がほしいのです。
(1)くりこまの昔ばなしを語る会。市内の地名が登場する民話などを多数紹介する。
(2)くりこまの昔ばなしを語る会の4人が、わらべ歌なども披露し、会場は懐かしい雰囲気に包まれる。
(3)くりこまの昔ばなしを語る会の中で配られたお菓子。民話だけでなく、昔の暮らしを味覚でも体験できる工夫がされている。
※写真は本紙2~3ページをご覧ください
