くらし 特集 スタートアップ×大館市×対話(1)

市では、スタートアップ企業※との協働による課題解決の取り組みや市民との対話を通じた課題把握と意見の共有を進めています。
実際の取り組みの様子を交えながら「なぜこの取り組みを進めているか」「どんな変化を期待しているか」「どんな展開が待っているのか」について石田市長の考えをお伝えします。
※スタートアップ企業…新しい技術やビジネスモデルをもとに社会課題の解決や地方の強みの活用に取り組む企業

■なぜスタートアップとの協働に取り組むのか
私は、大館が抱えている少子高齢化の課題を、ピンチではなく「未来を先取りしたチャンス」だと捉えています。
人口の4割以上が高齢者という構造は、東京の30〜40年後の姿でもあります。だからこそ、この地域で課題を乗り越える取り組みは、日本や世界全体のモデルになる可能性があると考えており、その入口として、昨年3月にスタートアップ企業の皆さんから市の課題解決に向けたアイディアを提案いただく市長直談判ピッチ※を開催しました。
このイベントの冒頭に「大館の魅力も課題も丸ごと見てください」とまずは私が会場の皆さんに対してピッチをしました。その後は、各企業の提案を聞かせていただき、選考を行いました。ピッチ後もできる限り選考企業のかたからお話を伺いながら取り組みを進めています。
市長自ら関わり、伝え、推し進める形でスタートアップとの協働を進めているのは大館市ならではではないかと思います。
もう一つ私が大館の価値を感じているのが、この地域の応援する文化です。
大館には、若い挑戦者を支えてくれるおじいちゃん、おばあちゃん世代が本当にたくさんいます。私自身も若い頃に何度も助けてもらいました。
挑戦する若者と、経験と知恵を持つ高齢者が力を合わせれば、きっと強い未来を作ることができます。
スタートアップとの協働は、その文化を形にし、次の世代へつないでいくきっかけになると思っています。
※ピッチ…短い時間で簡潔に提案を行うこと

◇令和7年3月 市長直談判ピッチ
市長自ら解決したい社会課題を企業に投げかけ、提案を募るイベントを開催。
県内外から10社が参加し、実現可能性の高い「パートナー候補」を3社選定しました。
・公民連携パートナー候補者
(株)e-lamp、(株)さとゆめ、(株)Rehab for JAPAN

◇令和7年10月 スタートアップサミット
市と関わりのあるスタートアップ企業と交流を図るイベントを開催しました。市の支援による実証事業の事例紹介や市長と公民連携パートナー候補者との対談、有識者によるトークセッションを行いました

■スタートアップは地域の熱を巻き込んで成長する
大館を舞台に新しい技術やアイディアが実証され、成功事例がここから全国へ広がっていく。その循環が生まれてほしいと強く思っています。
地方には課題が多い分、挑戦できるフィールドも広い。その舞台にスタートアップが飛び込み、地域の人たちが応援し、成果が生まれることで、「地方からイノベーションが起きる」という新しい仕組みやストーリーをつくりたいと思います。
また、今回の取り組みを通じて「挑戦を歓迎する空気」が地域全体に広がることを期待しています。
スタートアップ企業は地域の応援があって、そこに資金や人材が集まり、地域の熱と共に一気に急成長していきます。
担当職員に対しては、スタートアップと共に取り組みを進めるにあたってはスピード感を持って、失敗を恐れずに一緒に伴走する姿勢を大切するように伝えています。
従来の補助金による支援ではなく、実証フィールドの提供や条例の運用、地域とのつなぎ役など、行政だからこそできる支援をしっかり行っていきます。

■これからどんな展開が待っているのか
地元の事業者や事業承継を考える人などにもチャレンジの場を広げていきたいと思っています。
加えて、外部メディアの誘致や発信拠点の整備も進めています。大館の挑戦や魅力を全国に届ける環境が整えば、人や企業の流れは必ず変わります。
挑戦が集まり、情報が集まり、応援が集まるそんな大館らしい成長の仕組みを作っていきたいと思っています。

■市では多様なスタートアップ企業が実証事業に取り組んでいます
□自動運行ドローンによる物流実現可能性調査
エアロダインジャパン株式会社
サービス:ドローンでの日用品・医薬品配送
課題解決:ドライバー不足や災害時の道路不適時にも荷物を運ぶことができる。
実施内容:令和7年12月に医薬品や災害物資配送の実証を実施。

□外国人労働者向け生活支援アプリによる住生活・地域共生サポート
KUROFUNE株式会社
サービス:外国人労働者が抱える生活の困りごとを支援する多言語アプリ。日本の文化や習慣、マナーなども周知する。
課題解決:地域と外国人労働者の文化の違いによる誤解や摩擦を軽減し、近隣住民の安心につなげる。
実施内容:令和7年2月に空き家を活用した試験居住を実施。

□「脳波測定」による認知症早期対策
PGV株式会社
サービス:脳波データをAIで解析し、認知症リスクを5段階で評価
課題解決:認知症リスクを知ることで、生活習慣の見直しや改善を心がけ、認知症の予防に役立てる。
実施内容:令和6年12月に地域包括支援センター大館南が行う「コグニサイズ教室」に通う32名が脳波測定とリスク評価に参加。

□「オンラインリハビリ」によるフレイル予防・健康寿命延伸
株式会社Rehab for JAPAN
サービス:オンライン・AIを活用したフレイル予防
課題解決:健康高齢者の増加・介護現場の負担軽減につながる。
実施内容:令和7年10月からAIによる身体機能評価、オンラインでの介護リハビリプログラムを実証中。