その他 ふるさとへの便り

■いち推し自慢
黄緑のシルクのスカーフを敷き詰めたような早苗田。所々に寄り添うように点在する家々。ゆるやかに村と村を結んで光る川の帯。〝これこそまさにふるさと〞と思える魅力的な風景だった。郷土誌・鳥瞰図に感動した高校生の読書感想文の一節である。

村の総面積の約93%が山地でそのほぼ半分を国有林が占める。平地は村のほぼ真ん中を流れる成瀬川流域に僅かである。その僅かな平地に集落や田畑が存在し人々が暮らしている。雪国秋田屈指の豪雪地帯である東成瀬村は典型的な山村である。
「日本で最も美しい村連合」に加盟。〝美しい村を美しいままに〞その理念に思いをかける原風景。また、「美しい星空日本一」認定(1999:環境省)は、魅力ある自然環境の証しと自慢したい。自慢の自然環境は良質な産物を生む。特産物は何といっても山菜。自然の恵みをたっぷりと含んだワラビやゼンマイをはじめ、豪雪に耐えた山菜はやわらかくとても旨い。山々が彩どる頃には豊富なキノコが主役に成り代わる。
村には二つの対照的な泉質の温泉がある。栗駒山荘(須川温泉)は強酸性温泉。秋田・岩手の県境付近の栗駒国定公園内にある。露天風呂から眺める大自然のパノラマを心ゆくまで満喫してほしい。好天が味方しようものなら、遙か彼方の秋田富士(鳥海山)が望める。もう一方のやまゆり温泉は強アルカリ性温泉。ジュネス栗駒スキー場のゲレンデ直結の温泉は、「美肌の湯」とも呼ばれ四季を通して楽しめる。ゆったり「湯」に浸かり季節感あふれる山菜を堪能してもらいたい。高校生が胸を打たれた「魅力的な風景」に抱かれて。

今年、創立70周年を迎えた首都圏秋田県人会連合会。その節目を祝する会報「ふるさと秋田」特別号の寄稿文です。「おらほさ来てけれ」と。加盟ふるさと会が声高に、ふるさと〝いち推し自慢〞を競演。知っているようで意外と知らない「郷土秋田」の発見があること頻(しき)り。
高校生が胸を打たれた「魅力的な風景」が臨む。その村をぜひ訪れていただきたい。

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