- 発行日 :
- 自治体名 : 山形県
- 広報紙名 : 県民のあゆみ 令和7年5月号
■震災を乗り越えて気づいた地域への思いと情熱
やまがた愛の武将隊(以下、武将隊)の直江兼続として活動する草野さん。きっかけは東日本大震災でした。
「福島で被災し、仕事も失いました。そんな時に、大河ドラマを活用した観光ピーアールを担う、『ふくしま八重隊』の募集ポスターを目にし、かつて東京で役者を目指していた頃の情熱が再燃しました。募集期限は過ぎていましたが、復興の役に立ちたいと担当者に熱意を伝え、八重隊としての活動が始まったのです」。
6年間の任期中、福島のピーアールで全国各地を飛び回る中で、草野さんは武将隊と出会いました。
「武将隊の本拠地である米沢市は、福島からの震災避難者を多く受け入れていました。福島での活動の後は、武将隊の一員になり、恩返しをしたいと考え、移住を決めました」。
武将隊は、県内観光地でのおもてなしをはじめ、国内外のイベントへの出演、新たなイベントの企画・運営など、活動の幅を広げながら、本県の観光ピーアールに取り組んでいます。
■コロナ禍に誕生したユメリオン
一方、「ユメリオン」の生みの親の齊藤さんは、コロナ禍だからこそユメリオンが誕生したと言います。
「縁あって、『最上広域交流センターゆめりあ』の運営に携わり、施設を活用した地域活性化の企画を考えることになりました。当時は、コロナ禍の真っただ中で、マスクが欠かせないことを逆手に取り、フルフェイスマスクのヒーローイベントを思いついたのです」。
閉塞感を吹き飛ばし、地域に笑顔を届けるために、ユメリオンは、ゆめりあでの定期公演や、保育園、福祉施設などへの訪問などを重ねたそうです。今では子どもたち、そして地域に愛される存在です。
「ユメリオンは各地に出向き、ピーアール隊として活動できます。そこで最上地域をピーアールすることで、最上と他の地域、つまり点と点をつなぐことができるのです」。
■武将とヒーロー役だからこそ伝えられること
齊藤さんが続けます。
「子育てや介護をしている人、家族のために働く人、苦手な勉強や運動に取り組んでいる子どもたち。日々何かと戦っている皆さん一人ひとりがヒーローです。そんなメッセージを伝えるステージにしたいと考えています」。
草野さんがうなずき、武将隊が伝える意義について話します。
「歴史観光を楽しんでもらう際には、わかりやすく伝える工夫が大切です。武将が上杉神社参拝に来たお客さまを案内することで、難しい資料を読まなくても、地域の歴史や魅力を伝えることができます。体験を通して、お客さまの観光地に対する愛着も深まるはずです」。
齊藤さんが共感して応えます。
「役だからこそ、深く伝えられることもあります。歯磨きをテーマにしたショーをした後に、子どもが歯磨きをするようになったと聞いた時は、うれしかったですね」。
■会えることを続ける大切さ
「武将隊は、今年で活動15周年を迎えます。前代表から事業継承する際に、『また会える日を待っておるぞ』とお客さまを見送る限り、武将隊を継続、発展させることを誓いました。この誓いは、苦しい時も活動を続ける原動力です。」と草野さん。
「活動を広げていく上でも、大事なことですね。ユメリオンは、今年新たなステージとして、山形と宮城の2地域での活動を考えているんです。」と応える齊藤さん。
奏であうお二人の対談を締めくくるように、直江兼続とユメリオンが現れます。
「継往開来!先人たちが地域に残した偉業を受け継ぎ、皆で未来を拓こうぞ!なあ、ユメリオン殿!」と直江兼続がこぶしを上げます。
ユメリオンもこぶしを上げ、応えます。
「未来創造!過去と未来、想いは一つ!毎日を頑張るみんながヒーローだ!」。