くらし 「観光」の力で拓(ひら)く 持続可能なまちづくり(2)

▼日本一の観光案内所
まちなか・蔵王・山寺の連携強化が生む観光の好循環
〈まちなか〉
〇蔵王温泉の宿泊客
市街地で食事を楽しみ、夜は宿へ
↓↑
〈蔵王〉
〇市街地の観光客
日帰り温泉や観光(バスで約40分)
↓↑
〈山寺〉
山寺と蔵王、両方満喫(シャトルバスで約45分)
↓↑
市街地のホテルから山寺観光へ(JR仙山線で約15~23分)

▼蔵王──四季を通じた魅力の発信
蔵王は冬の樹氷とスキーを目当てに多くのお客さまにお越しいただいていますが、冬以外の誘客が課題です。しかし、春は桜、夏はトレッキングや避暑、秋は紅葉と、それぞれの季節に魅力があります。お釜をはじめ、蔵王は夏も十分に楽しんでいただける場所です。サマースキージャンプ大会やトライアスロンなど、各種スポーツイベントも組み合わせながら、冬以外の蔵王の魅力を広くアピールしていきます。
蔵王の大きな強みは、中心市街地から車で30~40分という近さです。これほどの山岳リゾートが市街地と好アクセスの場所にあるという環境は、国内にもなかなかありません。「蔵王温泉の宿泊客が、夜は市街地に降りて食事を楽しみ、また宿に戻る」という楽しみ方をしているインバウンドの方もいるほどです。立地の強みを生かした取り組みを一層強化していきます。

▼山寺──精神文化が息づくパワースポット
山寺にも年間を通して多くの方々が訪れています。
現在、山寺を景観重点地区に指定し、地区全体の魅力向上に取り組んでいます。建物改修の補助制度を活用し、屋根や壁、看板の色を統一するとともに無電柱化も進めており、街並みに一体感を生み出しています。さらに地域の子どもたちが、授業で観光ガイドに取り組むなど、地域と観光が一体となった取り組みも進んでいます。
山寺の魅力は、景観だけではありません。山岳信仰や仏教の精神性、スピリチュアルな価値、歴史が国内外から高く評価されています。特に欧米の方々は、こうした精神文化や長い歴史に強い関心を持たれますので、デジタル技術も活用しながら、外国の方にも深く理解していただける仕組みを整えたいと考えています。また、すでに蔵王温泉と山寺を結ぶシャトルバスも運行を始めていますが、こうした連携をさらに強化していきます。

▼まちなか──現代へと続く歴史を体感できるまち
戦火を免れた山形市には江戸から昭和にかけて建てられたさまざまな建物が残っており、重層的な歴史を楽しめるなど、まちなかは観光地として多くの魅力があります。
そして今、市街地は大きく変貌を遂げようとしています。まず、駅前の旧山形ビブレエリアまで含めた一帯で「日本一の観光案内所」を整備する計画です。市街地はもちろん、蔵王、山寺、周辺地域の観光情報まで、観光客一人一人のニーズに合わせて丁寧にご案内する旅の拠点にしたいと考えています。
もう一つの大きな施策が「粋七(いきなな)エリア整備事業」です。「水の町屋七日町御殿堰(ごてんぜき)」の上流部分を石積みに復元し、堰沿いに小径(こみち)や広場、お店を配置していきます。その先にある旧料亭千歳館は、現在リノベーション中です。重厚な雰囲気は生かしつつ、芸妓(げいぎ)文化・料亭文化に触れることができる場所に生まれ変わらせます。カフェや宿泊機能も備え、まちなか観光の核となる施設にします。これらが完成すれば、市街地観光の大きな目玉になります。
また、既存の観光資源も磨き上げを行っています。文翔館や山形市郷土館(旧済生館本館)も、PRに力を入れることで来場者数が大きく伸びています。城下町ならではの酒蔵、旧家、和菓子店なども、ストーリーとともに発信することで、より魅力的な観光コンテンツとして生かしたいと思います。

▼美食都市としての可能性
山形市は米どころであり、酒どころでもあります。また、四季折々のフルーツ、そばやラーメン、山形牛もあります。これらを総合して「美食都市」としてのイメージを確立することが重要です。
すでに全国的には「山形はおいしい」という認識が広がっています。ガストロノミーガイド「ゴ・エ・ミヨ日本版」には、山形市の飲食店が3年連続で複数掲載され、食体験を目当てに訪れる方も増えています。こうした食の魅力も、観光の大きな柱にしていきたいと考えています。
一方で、山形市民が暮らしの中で楽しんでいる芋煮会のような食文化も、そのまま観光資源になります。山形市の食の可能性を広く捉え、本当に良いものを紹介していきたいです。