- 発行日 :
- 自治体名 : 山形県庄内町
- 広報紙名 : 広報しょうない 2025年9月号
■天つ風 龍神伝説へのいざない
宮沢賢治は「農民芸術概論」で「芸術とは個人または集団の日常的状況をより深く美しいものに変革する行為である」と述べています。つまり、劇場やコンサートホール、美術館などだけでなく、生活や風土に結び付き集落の伝承や祭典などに合わせて変化し、人々の心を豊かにする活動こそが芸術の根幹にあるように思っています。
今年は、県民芸術祭の開幕式典が平成20年以来、17年ぶりに庄内町で開催されます。「天つ風龍神伝説へのいざない」をテーマに蘇りを司る月山からの風を受け、先人達が遺した伝統を世代間で共有し、新しい文化として継承していこうという願いを込めての開催になりました。
霊峰月山、平成の名水百選「立谷沢川」、山形県民の母なる川「最上川」、世界かんがい施設遺産の「北楯大堰」、そして、美しく広がる庄内平野と豊かな自然と伝統文化に培われた風土はまさにここにしかない財産です。
月山山頂から吹き降ろす天を吹く風は、清川ダシ同様に時に有益に、そして時に厳しく私たちの生活に関わってきました。そうした生活に根差した文化や風習の営みの一つひとつが芸術にも繋がっているものだ思います。
合併20周年の記念の年に、伝統文化の豊かさを再認識すると共に次の世代にしっかりと引き継ぎ、ここにしかない新しい文化の創造につながるよう、より多くのみなさんの参画のもとに発表や展示、交流が深まることを期待してやみません。
そして、わが町の守り神でもある龍神様は、氣龍祭同様にこの芸術祭を通し、芸術文化を日常生活に浸透させて文化の薫りが高いまちに私たちを導いてくれると信じています。
庄内町長 富樫透