文化 国見の民話かるた

■第二十九回/おふかさんのはなし
明治の世 とんでた婆ちゃん おふか婆ちゃん

昔、山崎の伝右エ門という百姓頭に、「おふか」という一人娘がいました。このおふかさん、一人娘のせいか、有名な気まま娘。山崎から藤田の町へ買い物に出かけたり、仙台の祭りに行ったり、梁川に歌舞伎芝居があれば、一週間夜道を歩いて通いつめたりと、人々をびっくりさせていました。
さて、このおふかさんも人並みに歳をとり、おばあさんになったころ、東北本線が開通すると、好奇心あふれるおふかさんは、いてもたってもいられず、はるか遠い四国の金毘羅参りに行きました。何せ女一人旅、護身用に懐剣をしのばせ、小さな植木鉢の底に金を隠し首に下げながら歩いたそう。金毘羅参りで買った大きな天狗のお面を背負い、土産話とともに意気揚々と帰ってきました。
女性の自由がなかった時代に、気ままと言われようが気にせず、生き生きと豪快に生きた女性のお話です。