その他 美しい大玉村

花・野菜・植物たち(10)
箱﨑美義著

■(9)のつづき
とうがらしは、ナス(茄子)科の一年生植物、果菜作物で、紀元前5000年から6500年前に北米大陸南部の合衆国、メキシコ国で世界で初めて出土し発見された。南米北西部ペルー国でも一世紀頃の遺跡から見出されている。ヨーロッパでは、イタリアの航海者コロンブスが1493年にスペインに持ち込み、その後ヨーロッパ全域に広まった。東洋に伝わったのは、16世紀代で、インド、東南アジア、中国へと比較的短期間に広まり、17世紀には、東南アジア各地で栽培された。現在では、インドや東南アジア各国では、なくては生活できない重要な香辛食品になり、その消費量は、とても多く、これらの地域は、世界第一の生産地となっている。わが国には、16世紀頃で、1542年頃、天文11年にポルトガル人がタバコ(煙草)と一緒に持込んだ。一方1593年、文禄年間、戦国、安土桃山時代の武将、豊臣秀吉氏が朝鮮出兵のおり朝鮮から持ち帰ったのが初めてである。

■とうがらしの本命、別な呼び名のゆらい
とうがらしの本命は、とうがらし、蕃椒がある、別な呼び名は、地珊瑚(じさんご)、辣茄(らっか)、高麗胡椒(こうらいこしょう)(こしょう)、天井守(てんじょうもり)などがある。唐辛子の字は、中国より入り、からしの意であり、蕃椒は南蛮胡椒、南蕃胡椒の略称である。

■食欲増進、脂肪の分解促進
日本では、入国後、もっぱら観賞用に植えられており、子供達のお仕置きに、とうからしをいぶしたり、手足の寒さから守るため、乾燥粉がらしを水で練りつけたり用いた。朝鮮では、奈良、平安時代に抵抗なく料理に初めて使われた。また中国では、四川料理には、とうがらしは欠かせない一つ。からしなの本場で、辛みを好む下地があったからか。さて、とうがらしは、なぜ辛いか、その正体は、アミノ酸(蛋白質)からできたカプサイシン(辛味成分)という化合物(2種以上の元素が)である。とうがらしの辛みは、果実が成熟するとともに増す。それは果実内部の種子が着く胎座(ワタの部分)の表皮細胞に、カプサイシンが蓄積されるからだ。カプサイシンは、消化管の運動を増加させ、胃酸の分泌をうながすので食欲を増進させる。また皮膚の血管を拡張させる働きを持つ。これに加えて、脂肪の分解を促進する作用が近年明らかにされてきた。ところが、大量だと皮膚や粘膜にやけど(火傷)を引き起す。何ごとも、ほどほどが肝心のようだ。とうがらしは、葉も食べられる。栄養は、野菜のトップクラス。ビタミンCは、レモン汁の2倍近く、ビタミンAは、ホウレンソウの1.7倍、ビタミンB2は野菜の中で最も多い一つで、百グラム中0.37mg、カルシウムは、同640mg含まれる。(つづく)