文化 【連載】昭和村の歴史と文化~第29回~

菅家 博昭(大岐)

◆新かすみ草・銀河(3)
(7)2017年6月30日(金)午後3時から、奥会津・昭和村下中津川の昭和村公民館2階研修室で、昭和村花き振興協議会(喰丸立川幸一会長、事務局は役場産業係山内康次係長)の主催で花のの学習会が開催された。
「世界各地のかすみ草生産国の現状と課題」スペイン・バルセロナのセレクタ・カットフラワーズのジョルディ社長Jordi Caballeria Treserraが来日講演された。通訳は名古屋の小縣信也氏(セレクタジャパン)、同行で京都のオランダ人ポールさん(セレクタジャパン)。講演会終了後、セレクタ社のかすみ草・プチパールを栽培している会津地域の生産者ら11名で「プチパール研究会」を開催した。場所はファーマーズカフェ大芦家で6時20分まで。店主の佐藤孝雄氏が7月1日のブログに「講演会のあと、大芦家でジョルディ社長を囲んで夕食会が開かれた。参加者は食事をしながら情報を交換。ジョルディ社長の「農家の思いが花に伝わる」という言葉が印象的だった」と書かれているが、ジョルディ社長は誠実な方で、話の含蓄も多く、カタルーニャ工科大学で農業工学を専攻された。
2017年は日本の種苗会社のミヨシとセレクタは業務提携し、これまでセレクタのかすみ草を販売してきた名古屋のフクカエン種苗(銀河ウェイ、プチパール等扱い)と2社になる。2017年に発売されたホワイトウィッシュという新品種のかすみ草はミヨシからの納品で、5月、6月に昭和村内の試作圃場等に植え付けられた。

(8)2024年7月11日、かすみ草銀河ウェイを、15年前に試作を行った岩下(上)圃場に作付けた。2017年に露地草花圃場に転換した場所で、かすみ草は7年間栽培していない畑。連作障害にならないよう露地草花とかすみ草の輪作。そして「かすみ草は露地雨除け栽培」を40年間、守っている。現在のようにハウス内で最初から栽培すると高冷地の良さ(そよ風で育てることと、露天での冷涼さ)と、降雨による土壌清浄化の力を無視し、朝露のダニ等予防力を失ってしまう。
現在のかすみ草生産は異常な技法によるもので肯定できるものではない(土が砂漠化)。そのため単茎開花が日常となり、高温によるブラスチング(未開花つぼみの多発)、ダニの蔓延等が発生している。産地の永続化・百年産地のためには、作期ごとに栽培技法を違えて、同じ技法で出荷を続ける単一化を見直す必要がある。
2024年8月10日(土)台風5号接近。曇り、蒸し暑い日。露地草花のディル、フェンネルはすべて仲卸からの注文で希望数量にこたえることができていない。
岩下(上)圃場の、新ウネにハウス22m1棟を建てた。7月11日定植の銀河ウェイがあり、水やりも何もせず、定植しただけで休んだ畑の力はすごく、草丈も60cmほどになっている。施肥はかすみ2号を10kgのみ。強風で倒れる危険性があるので、すぐにハウスを90cm間隔アーチで。22mm、ありあわせのアーチ材料を集め、過日購入した2間のパイプと、新接合器具を使用。赤防虫ネットをまわした。8月下旬に開花がはじまり、そのうちの五本を福島県の花き品評会用に送出したところ、大賞となった。91歳の父・清一(せいいち)は、このかすみ草を岩下の畑で見て、40年前にはじめてかすみ草を栽培したころの「勢い」があると感じたという。
結果はそのとおりとなった。畑を休ませるという大切なことを学んだ年になった。