文化 [特集]半世紀ぶり壁画発見 歴史的快挙
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- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県双葉町
- 広報紙名 : 広報ふたば 2026年2月 災害版 No.177
令和7年12月12日、町教育委員会は清戸迫横穴墓群の調査において、新たな彩色壁画を確認したことを専門家の見解を交えて発表しました。
この発表は大きな反響を呼び、地域の歴史研究において重要な発見として注目されています。
今回発表した横穴墓は、奥壁だけでなく左右の壁や前壁にまで壁画が残されており、内部全体に装飾が施されていて、保存状態が良好であるため、当時の姿を伺うことができる価値を持っています。
町内で彩色壁画を持つ横穴墓は2例目の発見であり、古墳時代の人々の死生観や信仰を知る上で貴重な資料となります。
■57年ぶりの発見
今回の壁画は、令和6年12月13日に実施された現地調査で確認されました。壁画のあった横穴墓は、これまで清戸迫横穴墓群の1基として知られていたものの、内部の状況は謎に包まれており、令和6年度から進められている清戸迫横穴の保存活用計画策定事業の一環として調査したところ内部に赤色の線が見つかり、さらに詳しく調べたところ、奥壁・左右の側壁・前壁のすべてに赤色顔料で描かれた壁画が存在することが分かりました。
清戸迫横穴墓群で彩色壁画が確認されるのは、昭和42年の渦巻き模様で知られる横穴墓発見以来57年ぶりで、群内に複数の彩色壁画を持つ横穴墓が存在することが初めて明らかになりました。
■新たに発見された壁画(奥壁)とその特徴
▽人物像
奥壁の中心的なモチーフとして大きく描かれています。東日本では人物を描いた彩色壁画は福島県内に限られるため、地域的な特性を示しています。
▽騎馬人物像
馬に乗った人物の姿が描かれており、地方の豪族など武人や身分の高さを示す可能性があります。
▽人物像と舟
舟のモチーフは死者を死後の世界へ送り届ける意味が込められていたと考えられています。
▽盾・靱・大刀
九州や関東の装飾古墳で一般的にみられるモチーフであり、広域的な交流の影響があったことが伺えます。
彩色壁画は、遺体を納める部屋の壁に線を彫ったり、色を施して模様を描いた古墳や横穴墓に見られる装飾部分のことで、これらを備えた古墳や横穴墓は装飾古墳と呼ばれます、この装飾古墳は九州を中心に関東、南東北、山陰などに分布しています。
これらの壁画には当時の死生観が表現されていたと考えられますが、壁画が残された目的の多くは謎が残っています。
彩色壁画は九州地区が起源とされており、その後、東日本へ伝わったとされます。しかし、当時の政治的中心地だった近畿地方ではほとんど確認されないため、近畿経由ではなく海上交通による広域交流で伝播した可能性が高いと推測されています。
実際に彩色壁画を持つ装飾古墳は宮城・福島・茨城の太平洋沿岸部や河川流域に集中し、この仮説を裏付けています。
清戸迫横穴墓群は新山地区に31支群・304基が確認され、東日本最大規模です。今回の新たな壁画の確認は、清戸迫横穴墓群の歴史的価値と文化的広がりを改めて示す成果といえます。(次号から歴史的背景も加えて詳しく解説します)
清戸迫横穴墓群の所在地は私有地のため、許可なく立ち入ることはできません。見学はご遠慮ください。
※詳しくは本紙をご覧ください。
