くらし 《特集2》読書の秋を楽しみませんか?

秋は読書に最適な季節といわれています。読書をもっと楽しむために、図書館の活用方法と小説家松永K三蔵(まつながけーさんぞう)さんのインタビューをご紹介します。充実した読書の秋を過ごしましょう。

■たくさんの本に出会える図書館に行ってみよう!

●図書館は宝の山
絶版本も、高価な全集も、一般には流通しない展覧会図録も、図書館で所蔵しています。

●多彩なセミナーを実施しています!
本の知識を生きる知識に!文化・芸術・学問など、教養の発信基地としてセミナーを開催することも。県立図書館では、「知の探究セミナー」を開催したり、地域の情報拠点として年間を通じてさまざまなイベントを行っています。

●子育て世帯にも優しい
上限まで借りても、何時間いても無料なので気軽に本を楽しめます。利用カードは赤ちゃんから作れます。また、児童書コーナーの近くに子育て支援の資料を置いている図書館もあります。

◇ご存じですか?レファレンスサービス
知たいことがあるけれど、それがどの資料に書かれているのか、どの棚にいけばいいのか分からない…。そんな時は気軽にご相談ください。資料探しのコツや調べ方など、職員が調べもののお手伝いをします。図書・雑誌・新聞、時にはインターネットから情報を集めることで、不確かな情報があふれる社会で役立つ「正しい」情報の探し方、まとめ方が身に付きます

◇県立図書館からのメッセージ
読書にぴったりのこの季節。10月27日~11月9日の読書週間にあわせて、多くの図書館で読書フェスティバルが開催されます。なかなか本を読む時間がない…という方は、この機会に受賞作品をチェックする、好きなところだけ読んでみるなどしてみてはいかがでしょうか?

・お知らせ11月9日(日曜日)はいばらき読書フェスティバル
松永K三蔵さんの講演会の他、ビブリオバトル茨城決勝大会も開催!ぜひご来館ください。

●県立図書館厳選オススメの本
・介護のことになると親子はなぜすれ違うのかナッジでわかる親の本心
神戸貴子 竹林正樹 鍋山祥子/株式会社Gakken

長寿社会で家族の介護に奮闘している方も多いと思います。ナッジ(「ついそうしたくなる心理」をくすぐり、直感的に望ましい行動をしたくなる仕掛け)を用いた、介護をラクにするコミュニケーション術を掲載しています。

・香君
上橋菜穂子/文藝春秋

優れた嗅覚を持ち、植物や昆虫たちの〈香りの声〉を感じることが出来るアイシャが、奇跡の作物・オアレ稲の虫害を機に、稲に依存する帝国の社会・経済を変えていく姿を描いた物語です。

●みんなに伝えたい読書の楽しさ
いばらき大使・小説家 松永K三蔵さんに聞きました

・Q1.小説家を志したきっかけは?

14歳の夏休み、母親からドストエフスキーの『罪と罰』を渡されて、それを読んで世界がひっくり返るほどの衝撃を受けました。その時に、自分もいつか自分の『罪と罰』を書こうと思い、小説家を志しました。

・Q2.幼少期から本がお好きでしたか。本が好きになったきっかけはありますか?

幼少期には本は読まず漫画ばかり読んでいました。特に『ドラゴンボール』や『北斗の拳』が好きで、影響を受け、ひとりでこっそり10年以上漫画を描いていました。自分でストーリーを考え、誰にも見せず、ただ自分が愉しむためのものでした。ところが中学二年生の時にドストエフスキーを読み、全てが変わり、本に興味を持ちました。

・Q3.子どもたちに本を好きになってもらうには、どうしたらいいでしょうか?

名作や有名な作品じゃなくても、子どもが「おもしろい!」と思える本を紹介してあげることが良いと思います。その子にとっての「一冊」を見つけてあげる。まずは語り聞かせて、途中まで話してあげる。続きは読んでね、と導入してあげるのも良いと思います。

・Q4.茨城県内の思い出の場所は?

夏休み、いつも行っていた日立市の久慈浜です。今年の夏、数十年ぶりに久慈浜の海に入りましたが、幼い頃の海と何も変わっていませんでした。自分は年齢を重ね、家族を持ち、また身を置く場所が変わっていく中で、何も変わらないものの存在に触れて、圧倒されると同時に安堵を感じました。

●松永さんから、皆さんにオススメの本・漫画

・逆境ナイン
(c)島本和彦/小学館

がんばっていると、いろんな困難があります。逆境があります。どうしてこんな「逆境」があるんだろう?って考えてしまうこともありますよね。物語の最後に、その「ヒント」が出てきます。笑って
読めるスポ魂ギャグ漫画ですが、……泣けます。

・ろまん燈籠(とうろう)
太宰治KADOKAWA/角川文庫

暗い、暗いと言われる太宰ですが、中期の作品は明るいものが多く、おもしろいですよ!小説(フィクション)というものの可能性を思う時に、外せない作品です。

■夢を追いかけている皆さんにメッセージ(松永K三蔵さん)
たのしむこと。好きなだけ自由に妄想すること。誰かと比較しないこと。
前例はなくてもいい。夢を持てることはそれだけでとても幸せなことだと思います。夢を追うことによる、いろんなリスクを調べられる時代です。でもそれは必ずしも「正解」ではありません。
実際に追いかけた、その先にしか見えないものがあります。「大丈夫」というのが私の結論です。いろんな困難もあります。不安になることもあります。「それでも、大丈夫」というのが私の結論です。

水戸市に生まれ、母親の実家がある日立市で2歳ごろまで過ごす。2024年「バリ山行」で第171回芥川龍之介賞受賞。同年11月にいばらき大使就任。

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