- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県水戸市
- 広報紙名 : 広報みと 令和7年6月1日号
■松田智行所長 動物愛護センター 獣医師
新しい家族のもとで、生涯を全うできるよう、収容されている動物たちの現状を市民の皆さんに知ってもらい、大切に育ててもらいたい。
物愛護センターの役割は、「人と動物がともに幸せに暮らせるまちをつくること」と力を込める松田所長。不幸な動物をなくすため、小さな命と向き合い、その重みを噛みしめながら、日々の業務にあたっています。
収容されている動物は、現在、犬18頭、猫9頭の合計27頭(令和7年4月17日時点)。これらの動物は、けがをしていたり、感染症にかかっていたりすることがあるため、治療や検査などの必要な処置を行います。
また、動物たちは、収容による環境の変化で、大きなストレスを抱えています。不安でいっぱいになった気持ちを解きほどくため、家庭的な環境のもとで時間をかけながら動物との距離を縮めていきます。
捨てられたことで生まれた人間に対する不信を、たっぷりの愛情を注ぐことで、再び、信頼に変えていくのです。
▽気軽に立ち寄れる場、きめ細かなサポート体制
センターの取組で特徴的なものに、施設外での譲渡会があります。主に七ツ洞公園や各種イベントなどで実施し、市民の皆さんと収容動物たちが触れ合うことのできる機会を設けています。「施設へ行くにはハードルが高いという人もいると思います。ふらっと立ち寄れる環境の中で、気軽に収容動物の現状を知ってもらえたら」と松田所長。たくさんの人に見てもらい、一頭でも多くの命を救う取組です。
また、センターでは、きめ細かなサポート体制で譲渡活動を展開しています。収容された動物たちは、人間に対する不信から警戒心が強かったり、問題行動があったりする場合があります。飼ってみたものの、やっぱり無理だったということがないように、一度きりの見学で譲渡するのではなく、それぞれの性格や特徴を丁寧に説明し、じっくり時間をかけて動物に触れ合うことから始まります。
家族として迎え入れたい動物が決まったら、センター職員が譲渡希望者の自宅を訪問して、飼育場所を確認。譲渡希望者は講習を受講し、譲渡制度や飼い方、しつけ、病気、動物に関わる法律など、動物を飼うために必要な知識を学びます。
その後、動物とのマッチングを見極めるため、2週間の一時預かり(トライアル)を実施し、問題なく飼うことができると確認できれば譲渡となります。
また、犬に関しては、譲渡後のしつけ訓練を学ぶ講習を通じて、適正に飼い続けるための支援を行っています。
一見、手間がかかるようにも感じますが、動物たちが、再びセンターに戻ってくることがないように、ずっと幸せに暮らせるようにするためには、これが一番の近道なのです。
▽センターの活動を支える大きな存在
さまざまな活動をしているセンターですが、できることは限られています。そのようなときに頼りになるのが、ボランティアの皆さんです。現在、センターと連携しているボランティアは9名。それぞれが得意分野を生かしながら、SNSなどを使って里親を探したり、野良猫の不妊去勢手術に携わったりするなどしています。
「私たちと一緒になって汗をかいてくれるボランティアさんの存在は大きいですよ」と話す松田所長。ともに活動する仲間たちの存在が力の源になっています。
このように、市民と行政が協働して取り組んでいるセンターですが、課題もあります。それは、高齢化に伴い、里親希望が減少傾向にあるということ。飼い主になってくれる人は無限にはいません。捨てられるペットをなくさなければ問題は解決しないのです。
このため、見学会やふれあい教室のほか、街頭キャンペーンなど、さまざまな場面で動物愛護の普及啓発に取り組み、命の大切さを伝えています。
▽命を預かること、その一生に寄り添う覚悟
ペットはモノではありません。私たちと同じ感情を持った一つの命なのです。
大切な人に重大な事態が起きたとき、皆さんはどうしますか。自分のことのように心を痛め、何かできることはないかと考えませんか。自分のことよりも、その人のことを最優先にすることはありませんか。
ペットもまた同じです。いつでもしっぽを振って迎えてくれる犬や、静かに足元にすり寄ってくる猫たちは、私たちに寄り添い、私たちの弱い部分も全部受け入れてくれます。ただそばにいてくれる。それだけで、私たちはペットから安らぎをもらっています。言葉を交わすことはなくても、深い絆(きずな)でつながっているのです。
「ペットを飼うことは、命を預かるということ」。松田所長の言葉から、責任を持って、その一生に寄り添う覚悟を持たなければならないという強い思いが伝わってきました。
■動物愛護センター あにまるっとみと
◇犬猫の不妊去勢手術費用の一部補助
ID:0004162
助成額:
(1)飼い犬・飼い猫(1匹あたり)…不妊手術4,000円、去勢手術3,000円
(2)飼い主のいない猫(1匹あたりの上限)…不妊手術10,000円、去勢手術7,000円
対象:次のいずれにも該当する方
・令和8年3月31日までに手術を受ける
・市税の滞納がない
※犬の場合は、市に登録があり、令和7年度の狂犬病予防接種が済んでいる。
申込み:(1)は手術後、(2)は手術前に動物愛護センター あにまるっとみとで
◇動物愛護寄附金を募集しています
ID:0018407
動物愛護の意識の普及啓発や動物愛護センターに保護された犬猫の譲渡など、動物愛護に関する施策の推進を目的とした寄附金を募集しています。
申込み:申込書に記入し、動物愛護センター あにまるっとみとまたは保健衛生課(郵送可)、各市民センターへ
※いばらき電子申請・届出サービスで申込むこともできます。寄附金の納入方法など、詳細は、市ホームページをご覧ください。
問合せ:動物愛護センター あにまるっとみと
【電話】350-3800
■環境保全課
◇犬のふんは持ち帰りましょう
ID:0002763
市では、飼い主が犬のふんを持ち帰ることや、そのための用具を携行することなどを条例で定め、啓発を行っています。
道路や公園、個人の住宅の敷地内などにふんを放置されると市民の皆さんが困ります。マナーを守り、周囲の人に迷惑をかけないよう犬を飼いましょう。尿については、洗い流すなどして処理してください。
問合せ:環境保全課
【電話】232-9154