くらし 〔特集〕高齢者支援の現場から~つながりで支える地域包括支援センターのこれから(2)~

■新春対談
◇鹿嶋市長
田口伸一

◇だいどう地域包括支援センター
管理者:瀬田(せた) かおりさん

◇かしま西地域包括支援センター
管理者:杉山 元(すぎやま はじめ)さん

◇なかの地域包括支援センター
管理者:大槻 倫子(おおつき みちこ)さん

◇かしま東地域包括支援センター
管理者:大髙 真智子(おおたか まちこ)さん

■各地区の地域包括支援センターの状況
◇市長
本市は、全国を上回るスピードで高齢化が進んでいます(7ページ参照)。
急速な人口減少と高齢者人口がピークに達することで支え手が少なくなるこれからの時代は、地域全体で心配や不安を持つ高齢者や家族を支える仕組みづくりがますます重要となってきます。その仕組みづくりの中心的な役割を担っているのが、市内4カ所にある地域包括支援センターだと考えています。
まずは、高齢者支援の現場で地域包括支援センターがどのような活動をされているのか、また、それぞれの地区の特徴などがあれば教えてください。

◇かしま東
私たちの基本的な役割は、高齢者やその家族にとって、地域での総合相談窓口となることだと考えています。
介護や健康、生活の相談はもちろん、「最近、近所に心配な人がいる」などの相談にも対応し、相談内容によっては介護保険のサービスや医療機関、民生委員、関係機関と連携して支援につないだり、一緒に対応を考えたりしています。介護のことだけでなく、暮らし全体を支えるのが地域包括支援センターの仕事と言えます。
鹿島地区には、「かしま東」と「かしま西」の2カ所の地域包括支援センターがあります。高齢化率は市全体よりは低い28.1%ですが、地域全体では鹿島開発などで転入された方が高齢となり一人暮らしとなる方が多い状況です。

◇だいどう
大野地区には、「だいどう」と「なかの」の2カ所の地域包括支援センターがあります。
高齢化率は44.5%と人口の約半分は高齢者という状況です。従来からお住まいの方と定年退職後に転入された方のコミュニティが共存しており、昔からの集落では3世代や地縁のつながりが強いものの、定年退職後の新たなコミュニティでは、高齢者世帯や一人暮らしが多く、病院受診や買い物などへの日常生活における移動手段に不便を感じている方も多くいます。
最近は高齢者二人暮らし世帯で、夫または妻の一方が認知症になり介護の負担が大きくなっているケースや、夫婦で転入された後、一方がお亡くなりになり一人暮らしになってしまい、日常生活の急激な変化に困惑されるケースなどが年々増えています。加えて、8050問題といわれる80代の親が50代の子どもの生活を経済的に支えている状態のご家庭や、3世代家族であっても高齢者を含む世帯員それぞれにさまざまな課題があり支援を行う必要があるなど、各家庭で抱える問題は多様化してきています。それぞれの困りごとにあわせて相談すべき場所も変わりますので、関係機関と連携し臨機応変に対応しています。

◇市長
お話をお聞きする限り、日々大変なご苦労をされていることが伺えます。高齢者一人ひとりの個別の相談に対応していくことはもちろんですが、地域全体の状況を把握し俯瞰(ふかん)したうえで、地域の資源を有効活用し、高齢者一人ひとりに寄り添った支援が必要になっていますね。
今では地域包括支援センターの存在を知る市民も大変増えたと聞いていますが、単なる高齢者の相談窓口というよりはむしろ、高齢者を含む世帯のよろず相談窓口として、医療、介護、福祉などの関係機関や地域資源と連携を図り、支援の中核を担っていただいている現状がよくわかりました。

■新たな体制強化と取り組み
◇市長
超高齢社会の進展に伴い、本市でも高齢者の皆さんの暮らしをどのように支えるか、ということが一段と重要な課題になっています。この課題に正面から応えるため、令和8年度から見守りの在り方を見直し新たな体制を整備します。
地域包括支援センターに看護職などの専門職を新たに配置し、70歳以上の一人暮らしの方のご自宅を直接訪問します。
これまで地域包括支援センターでは、相談の連絡をいただいた後に訪問するケースが多かったと思われますが、これまでの「相談を待つ」体制から、相談前に「先に動く支援」への強化にもつなげていきます。今後は、支援につながりにくかった方にも早めに声をかけられるようになり、積極的に動く支援を行うことができます。これが、今回の体制整備の大きな見直しとなります。
そして、健康状態の変化や認知症の初期症状の気付きなど、より専門的な視点で状況を把握し、必要に応じて医療機関や介護サービスへ早期につなげ、真に支援を必要とする方へ継続的に関わる体制を整えます。

◇かしま西
私たちが自らご自宅に伺うことで、支援のスピードが上がり、支援の網も広がると考えています。相談を待つだけではなく、こちらから直接会いに行くことで、これまでなかなか声が届きにくかった方ともつながれるはずです。専門職の視点を活かし、小さな変化を逃さず受け止め、次の支援へ確実につないでいきたいと思います。

◇なかの
日々の暮らしぶりを直接拝見するからこそ、体調や表情、家の様子のわずかな変化にも気付くことができます。こうした現場での気付きは、認知症の早期発見やご家族への支援にも直結します。新薬の情報などもあり、早期に医療や福祉につなげることで、本人とご家族が肩の力を抜いて生活を続けることができます。顔が見える関係を築きながら、必要な支援をスムーズにつなぐ流れを作っていきたいと思います。

◇市長
これまで以上に「命」を守る予防的支援を強化し、見逃さない訪問と確実につなぐ支援を組み合わせることで、支援の質と手応えを高めていきたいですね。引き続き皆さんの現場力に期待しています。