文化 国際交流員シルビアさんの「Moriya’s diary!」

■魚のサンドイッチとクリーム入り紅茶好きな北ドイツ
ドイツの地域性については「東」と「西」の話がどうしても多くなりますが、今月は「北ドイツ」を取り上げます。
ドイツと言えば、「ビールとソーセージ」や「オクトーバーフェスト」のイメージが強いかと思いますが、それは南ドイツの特徴です。もちろん、ソーセージは北ドイツにもありますが、お肉より魚料理のほうが代表的で、「Fischbrötchen(フィッシュブレトヒエン)」というサバやニシンなどの魚介類のサンドイッチが名物のストリートフードです。
ドイツ北部は、海が近く、バルト海と北海があり、その北海の中にユネスコ世界遺産のワッデン海もあります。ワッデン海は、オランダ・ドイツ・デンマークの海岸にある特別な水域で、いろいろな動物と植物が住んでいます。引き潮の時には海底を裸足で歩け、とても気持ちがいいです。
魚以外の名物は「Ostfriesentee(オストフリーゼンテー)」という氷砂糖とクリームを入れた紅茶です。まずカップに氷砂糖を入れ、次に紅茶を注ぎ、最後にクリームをそっと加えます。かき混ぜずにそのまま飲むのがポイントです。最初に紅茶の味を、次にクリームが混ざった味を、最後に底に行くにしたがって甘みが増す味を楽しめ、1杯で3回おいしいのです。このようなユニークなお茶の文化が2016年にユネスコ無形文化遺産として登録されました。
日本ほど多くはありませんが、ドイツにも島があります。一番有名な島はリューゲン島とジルト島で、特に夏に人気のある旅行先です。いくつかの島は「autofrei(アウトフライ)(自動車禁止)」です。小さな島では自動車が必要ないので、自然に優しい環境を作るためにも、自動車を使いません。
北大西洋が暖流なので、北ドイツの気候は比較的暖かです。冬は雪が降りませんが、海に近いので、風が強い時もあります。湿気も多いので、曇りと雨の日が少なくありません。北ドイツの方言に「Schietwetter(シートヴェッター)(ひどい天気)」がありますが、毎日ではありません。天気の影響かは分かりませんが、北ドイツ人のイメージは「口数の少ない」「落ち着いた」と「リラックスした」です。もちろん、人によって違いますが、西ドイツのデュッセルドルフ出身の私が訪問したときには、親切な人にたくさん出会いました。
このように、ビールやお肉などの一般的なドイツのイメージとは異なりますよね? 私は学生の頃に沖縄や京都に留学経験があり、日本のいろんな地方を旅した際に、地域の特色に感銘を受けました。同じ国でもいろいろな顔を持つのは豊かで魅力的ですよね。今後も折に触れてドイツの地方の特徴を少しずつ紹介できたらと思います。