- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県常陸大宮市
- 広報紙名 : 広報常陸大宮 2025年5月号
漆の伝統継承や生産振興を中心に奥久慈漆に携わる市の地域おこし協力隊として、新たに2名が着任しました。協力隊となったきっかけやこれからの活動への意気込みなどをお伺いしました。
◆活動中に得意を見つけて長く漆に関わりたい
中村 保 さん
◇神社仏閣巡りから漆の世界に
神社仏閣巡りが趣味の中村さん。知識を深めるなかで、漆が建造物の塗料として使われる以外に、乾漆造など漆によって成り立つ仏像の制作技法があることを知り、漆に興味を持ちました。さらに、1泊2日の漆に関する体験に参加し、漆に関わる人々との縁ができました。そこで、常陸大宮市の地域おこし協力隊募集の話を聞き、応募を決めました。
◇漆に関するを全てを学ぶ毎日
協力隊の活動として、苗植え、草刈り、剪定などの木の管理作業のほか、漆塗り前の表面を研磨する作業などを行い、奥久慈漆に関して総合的に学んでいます。「漆の管理だけでも覚えることが想像以上に多いなと感じていますが、興味があるので大変さは感じません」と中村さんは話します。
◇目標は好きな奥久慈漆を生業として続けること
これから3年間の協力隊活動について中村さんは「1年目は奥久慈漆に関する流れを学びたいと考えています。2年目以降は、ミッションであるウルシの生産管理を主軸にしながら、生産から塗りまでの奥久慈漆に関わる作業の中で自分の得意を見つけたいです」と話します。今後の人生、好きなものに関わる仕事を生業として、長く現役を続けたいという思いもあり、協力隊になったという中村さん。「退任後、漆に関わりながら、自分の生計も立てられるよう、漆に関する一連の作業で、自分が得意とするものを見つけていきたいです。得意を見つけることで、漆に長く携われるのではないか考えています」と退任後の展望についても話してくれました。
◆奥久慈漆の美しさやプロの仕事を守り伝えたい
菅尾 浩美 さん
◇市外でうるしを学び奥久慈に
約7年前、割れた食器などを漆で修復する金継ぎの習い事がきっかけで漆に興味をもった菅尾さん。うるしを学ぶなかで、奥久慈漆に携わる人々はうるしで生計を立てていることを知りました。うるしのみで生計を立てることは難しく、現地を見てみたいと思っていたところ、協力隊を募集していることを知り、応募を決めました。
◇奥久慈の「ウルシ」は美しい
奥久慈漆は塗りが美しいのはもちろん、木々そのものも美しいと菅尾さんは話します。「奥久慈漆の苗は、葉が青々として、健康さが感じられます。ウルシ林も左右前後に木々が整列していて、見た目だけでなく管理のしやすさが考えられていて感動しました」と市外でうるしに関わっていたからこそ感じた魅力を教えてくれました。
◇プロの教えは緊張の連続
協力隊として活動は、うるしに関するさまざまな工程を、それぞれ得意とするプロの指導のもと行っています。「教えてくださるのはうるしで生計を立てるプロばかり。実際の仕事に触れさせてもらっているので、日々、緊張でいっぱいです。その分、新たな学びが多く新鮮です」と菅尾さんは話します。
◇奥久慈の漆のプロと各所をつないでいきたい
今後の活動について、菅尾さんは奥久慈漆の生産管理を学びながら、うるしのプロたちと市内外問わず各所をつなぐコーディネーター的な役割も担っていきたいといいます。「うるしのプロの皆さんは、高品質なものを相手に届けているかっこいい方々。奥久慈漆とそのプロの魅力を伝えていきたいです」と話しました。