文化 [特集]西塩子の回り舞台(2)

◆伝統に挑む
◇大宮北小学校3・4年生 こども歌舞伎
観客動員数が最大になり、おひねりの雨が降る、西塩子の回り舞台のプログラムで一番の人気を誇るこども歌舞伎。大宮北小学校の4年生がメインで役を張り、3年生が支えています。今年は、4年生7人、3年生10人が伝統芸能に挑戦します。こども歌舞伎は、毎年11月に行われる北小学校の行事「北小祭」でも3・4年生が披露しており、恒例行事となっています。
子どもたちが披露する演目は、四季の遊びの面白さを表現する「常磐津 子宝三番叟(さんばそう)」と「白浪五人男」の稲瀬川勢揃(ぞろ)いの場面で、捕手(とりて)(現代でいう警察官)を前に自分の来歴を七五調の名ぜりふで語る盗賊団の姿を演じます。
第8回定期公演に向け、練習が始まったのは、西塩子の回り舞台本番まで2か月を切った9月3日のこと。練習開始前、子どもたちは正座で姿勢を正して講師を待ちます。講師が来ると「よろしくお願いします」と全員がきれいにそろった礼をして練習が始まります。その姿から子どもたちの緊張と真剣さが伝わります。
舞台に立つ際の基本である発声練習を行ったあと、担当する演目ごとに分かれて稽古を行います。「常磐津 子宝三番叟」の練習では浴衣を身にまとい、歩き方など所作を学ぶところからスタート。謡うたの練習では、三味線の音とせりふの細かいタイミングを合わせます。「白浪五人男」の練習では、傘や十手(じって)の立ち回り、歌舞伎ならではの「見得(みえ)」を切る演技を身に付けていきます。
普段、触れる機会の少ない、日本の伝統芸能。どの役でも覚えることはたくさんあります。始まったばかりの稽古ではまだまだ手探りな様子の子どもたちですが、休み時間には、体育館を駆け回る元気な姿や、台本を見直す真剣な姿を見せます。そんな子どもたちの元気さや真剣さは、稽古を重ねることで、演技や口上に現れ、本番では、同じ経験をした先輩たちにも負けない素晴らしい舞台を見せてくれることでしょう。

◆西塩子の回り舞台 第8回定期公演 開催概要
詳細は西塩子の回り舞台保存会ホームページをご覧ください。
※QRコードは本紙をご覧ください

◇日時
10月25日(土)
予備日:26日(日)

◇場所
塩田地区センター
(常陸大宮市北塩子2163)

◇入場料
500円
※高校生以下無料

◇会場へのアクセス
(1)会場隣接有料駐車場
駐車料金:500円
駐車台数:350台
※天候により使用できない場合があります。

(2)大宮運動公園駐車場
駐車料金:無料
駐車台数:450台
※会場までシャトルバスを運行します。

駐車場には限りがあります。
お車の乗り合わせ、水郡線の利用にご協力ください。

(3)JR常陸大宮駅発着シャトルバス

◇プログラム

◆江戸時代後期からそのまま残る文化財に注目
◇農村文化の水準の高さがうかがえる大幕
県指定有形民俗文化財となっている西塩子の回り舞台。実は、文化財として指定を受けているのは、舞台の床などの材料や大幕、フスマなど一部にすぎません。なかでも、大幕は定期公演当日にも見ることができます。高さ3.3m、幅11.5mにもなる大幕の左下には、文政3年(1820)につくられたという旨の印が。演目と演目の間は、200年以上前に農村の人々が作り上げた大幕に注目です。