- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県行方市
- 広報紙名 : 市報なめがた No.244(令和7年12月号)
地域共生社会に向けた福祉計画と取り組み―伊賀市の事例
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里
1.「伊賀流地域共生社会」に向けて
各地域では「全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り高め合う」地域共生社会の実現に向けて、さまざまな取り組みがなされています。厚生労働省でも紹介されている三重県伊賀市の事例を見てみましょう(本稿では、同市の一次資料を使って解説)。同市は、三重県西部の奈良県と接する人口約83600人の自治体で「伊賀の忍者」でも知られています。
伊賀市は「伊賀流地域共生社会」の実現を目指し「第4次伊賀市地域福祉計画」を、2021年に策定しました。ここでは、共生社会を「『共』に支え合ってつながり、地域の中でいきいきと『生』きる。そんな『社』会を実現させ、すてきな笑顔にめぐり『会』おう」と捉えています。
同計画は、次の4層構造になっています。第一に理念として「ひとりひとりが支え合いつながりあいながら、いきいきと暮らせるまちづくり」を掲げ、第二に地域福祉資源力の指標を設定、取り組みの「見える化」を図っています。第三にこれに向けた戦略として、(1)地域の力を高める(2)専門機関の力を高める(3)地域と専門機関をつなぐ、を挙げています。
そして第四に、重点施策として(1)4つの支え(高齢者支援、障がい者支援、子育て支援、生活困窮者支援)(2)4つの安心(住まい、地域医療、健康づくり、くらし)、および(2)6つの充実(後述)に取り組んでいます。
2.社会福祉協議会のインパクトゴールとSDGs
上記の重点戦略「6つの充実」のひとつ「多機関の連携による福祉の『わ』づくり」として、福祉行政パートナーである社会福祉協議会は、伊賀流地域共生社会に向けて重要な役割を果たしています。伊賀市社会福祉協議会(2021)では「みんなでめざす、わたしたちのまちづくりの目標」として12のインパクトゴール(認知症、健康寿命等)を掲げて、分かりやすいピクトグラムも作っています。
こうした地域独自の目標と、グローバル目標のSDGsを関連付けて「住民のみなさんや課題を持つ当事者、企業、団体などあらゆる人の参加によって、生活上の課題解決をめざす」としています(図)。
3.若者会議と社会福祉―不安からワクワク、共感へ
また「これからの人材を育成するしくみづくり」も、上記「6つの充実」として挙げられています。伊賀市では、2018年より「伊賀市若者会議」を設置し、シビックプライドや行動力を持った地域を創る若者(IGABITO)の発掘・育成に取り組んでいます。社会福祉協議会では、伊賀市若者会議と連携して「Fun・Fanプロジェクト」を立ち上げました(伊賀市2023)。
同プロジェクトでは、伊賀流地域共生社会に向けて「若い世代、シニア世代を含む全世代が活躍できる場づくり、居場所づくりを目指すための事業づくりを行う」ことを目的としています。そして「やりたいことがあってもどうしていいかわからない不安(ふあん)を抱えている人」に寄り添い「一緒に楽しめること、わくわくすることを企画(Fun)」、そして「取り組みに共感してもらえる人、一緒にする仲間づくりをすすめる(Fan)」としています。
※図は本紙をご参照ください。
