- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県大田原市
- 広報紙名 : 広報おおたわら 令和7年2月号(No.1331)
■賞典書(しょうてんしょ)
今回は、賞典書を紹介します。大田原市指定有形文化財となっている本資料の寸法は、縦52.2センチメートル、横65.0センチメートルで、現在の封筒に当たる封紙(ふうし)も現存しています。封紙の下部には「大関美作守(みまさかのかみ)」という宛名が墨書されており、上部には「御賞典書」と墨書された貼紙があります。大関美作守とは、黒羽藩16代藩主大関増勤(ますとし)のことです。
本資料は、明治新政府の太政官(だじょうかん)(政府の最高機関)から明治2年(1869)6月付で黒羽藩主大関増勤宛てに発給されたもので、戊辰戦争における黒羽藩の戦功を賞し、永世禄(賞典禄の一種で、無期限の家禄)として1万5千石を与える旨の証書となっています。
賞典禄が1万5千石という、小藩としては異例の高額を示している背景としては、黒羽藩が早い段階で藩論を統一し、新政府軍の一員として各地に参戦したことが考えられます。すなわち、既に15代藩主大関増裕(ますひろ)の指導で拡張整備された軍事力を持っていた黒羽藩は、慶応4年(1868)5月22日に出陣し、白河・棚倉・三春・二本松へと転戦しました。一方では、三斗小屋(さんどごや)・大内の戦いを経て、会津攻略に参戦し、10月13日、黒羽に凱旋しています。
本資料は、当館大関記念室において展示中です。
問合せ:黒羽芭蕉の館
【電話】0287-54-4151