くらし 被爆から80年―広島平和記念式典等 中学生派遣事業

■終戦から80年平和への願い
市は、平成18年に「非核平和都市宣言」を制定し、平成21年には平和首長会議に加盟するなど、非核平和事業の推進に取り組んでいます。
原爆投下から80年が経過し、被爆された方がたがご高齢となり、戦争を知らない世代が増えている今、被爆の実相や戦争の悲惨さ、そして平和の尊さを次の世代に継承していくことがますます重要となっています。
そこで、終戦80年の節目である本年、市内中学校に通う12名の生徒と市長が「広島平和記念式典等中学生派遣事業」として広島市を訪問しました。今回の特集では、派遣事業をとおして中学生が学んだこと、感じたこと、そして受け継いだ平和への願いを皆さんにもお届けします。

■非核平和都市宣言
世界の恒久平和は、人類共通の願いである。わが国は人類史上初めての被爆国であり、日本国民は広島・長崎の惨禍を再び繰り返さないよう訴えていく責務を自覚しなければならない。
私たち本庄市民は、美しい郷土を愛し、伝統と文化に恵まれたこの郷土が永久に栄えることを願い、非核三原則の完全実施を求めるとともに、ここに広く核兵器の廃絶を訴え、本庄市が非核平和都市であることを宣言する。
平成18年10月22日 本庄市

■本庄市のこれまでの非核平和事業
▽平和のシンボル「被爆樹木アオギリ」
被爆の惨禍に遭いながらも生き残った親木の種から発芽した被爆アオギリ二世。広島市から送られた苗木を植樹し、今も順調に育っています。

▽青少年平和学習
広島平和記念資料館や丸木美術館からDVD資料や「原爆の図」をお借りし、市内の中学校を巡回。被爆の実相と平和の尊さについて学んでいます。

▽非核平和パネル展
核兵器の脅威を再認識し、平和の尊さを訴えるため、広島平和記念資料館、長崎原爆資料館から原爆に関するポスターやパネルを借り、毎年夏に展示しています。

■広島平和記念式典等中学生派遣事業
―中学生が広島で学んだもの―
市では、平成3年度から平成22年度まで、広島市や長崎市へ中学生を派遣し、学習会への参加やフィールドワークをとおして非核平和を学んでもらい、平成23年度からは、より多くの生徒に非核平和を学んでもらうため、各中学校でDVD上映とパネル展示を実施してきました。
終戦80年の節目である今年度は、中学生たちが実際に広島市へ行き、平和記念式典や平和学習に参加しました。また、広島平和記念資料館や原爆ドームを見学し、平和への思いと核兵器廃絶の必要性を継承しました。

▽全国平和学習の集い
被爆体験講話の聴講や、全国35市区町村から集まった学生たちと戦争により受けた被害や平和について、グループディスカッションを行いました。

▽広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式
広島に原爆が投下された8月6日、平和記念公園で式典が行われました。120の国と地域が参加し、午前8時15分には平和の鐘が鳴り、すべての参列者が黙とうを捧げました。

▽全国こども平和サミット
被爆体験講話の聴講や詩の朗読、他市の平和活動発表を通じて被爆の実相を学び、「ヒロシマの心」を深く共有しました。

■広島平和記念式典等中学生派遣事業
中学生声の~広島で感じたこと~
広島平和記念式典等中学生派遣事業に参加した中学生たちの感想文から一部抜粋して掲載しています。全文は市HPからご覧ください。

▽柳澤莉乃さん 本庄東中
被爆者の平均年齢は今や86歳を超え、やがて彼らのいない時代がきます。被爆した経験、平和の大切さも風化するでしょう。今回学んだことを、戦争のない平和な世界を築く力に変え、被爆者の思いを受け継いでいきたいと思います。

▽佐藤衣哩さん 本庄東中
被爆された方は戦争のことを思い出すことも苦しいということが話を聞いてきて伝わってきました。やっとのことで話してくれたあの地獄のような出来事を伝え継いでいかなければならないと心から思いました。

▽柴崎陽依さん 本庄西中
当時の人びとの苦しみに正面から向き合えば、どんな国の方でも同じ感情を共有できるはずです。多くの方がこの悲しみに向き合って考えられるように、まずは私がこの3日間で学んだことを周囲に伝えていきたいです。

▽棚橋優花さん 本庄西中
もう二度と同じ苦しみを繰り返さない為にも、私たちは過去の過ちを学び、平和と向き合って行く事が大切です。誰も傷つかない世界にするために、私たちはこれからもたくさん の人と平和を愛し、学び、つくりあげていきます。

▽髙橋萌亜さん 本庄南中
平和記念資料館には、被爆者の写真や遺品など、目を逸らしたくなるような展示物もあり、戦争の恐ろしさを痛感すると同時に平和の尊さを強く感じました。この経験を忘れず、身近なところから平和を守る行動を心がけたいです。

▽佐藤さらさん 本庄南中
原爆は絶対にこの世に存在させてはいけないものだと思いました。また、平和へ向けて行動することの大切さや、体験記や詩の朗読によって原爆というものを後世に伝えていくことの必要性を感じることができました。

▽巻田千穂さん 児玉中
映像視聴、詩の朗読、活動発表等、さまざまな学習を通して平和への思いが高まりました。私たちは、平和のバトンを受け継ぎ、核兵器のない世界を作っていかなければなりません。これからも「平和の心」を守り育てていきたいと思います。

▽岩﨑紗優心さん 児玉中
ひとりの力では、被爆者の声を届けることは難しいと思います。だからこそ、ひとりの声を、みんなの声を何倍にも大きく広げる人が大事だと思います。誰かが一歩を踏み出す勇気、きっかけを与えられる人になりたいと強く思いました。

▽島村優希さん 本庄第一中
戦争が起こる原因のひとつが「差別」。差別をなくすことが平和につながるのではないかと思いました。私は、これからのこどもたちにも戦争への深い思いを受け継ぐために、多くの人にこの体験を伝えられる人になりたいと思いました。

▽平原風花さん 本庄第一中
「歴史は繰り返す」という言葉を耳にすることがよくあります。ですが、戦争は絶対に繰り返してはいけません。戦争の記憶を風化させないためには、一人ひとりが「戦争を繰り返してはいけない」という意識をもつことが大切だと思います。

▽阿部奏叶さん 本庄東高校附属中
平和記念式典では自分より小さい小学生が平和に向けて堂々と話していたり、たくさんの人びとが献花に訪れていて心が締め付けられました。120もの国等が参加し平和を祈っていて少しずつ平和に向かっていると感じました。

▽長谷川有里さん 本庄東高校附属中
今もなお、世界には1万発以上の核兵器が存在し、戦争や対立が続いている地域もあります。でも、私たちはそれを「どこか遠い国の話」として済ませてはいけないのだと、今回の体験を通じて強く思いました。

■平和学習報告会
広島を訪問した生徒たちは、現地で見聞きしたことや感じた思いをそれぞれの学校の全校生徒に向けて発信しています。
写真や資料を活用したり、生徒たちへの問いかけを交えながら「自分ごととしてどう考えるか」を促すなど、生徒たちがさまざまな工夫を行いながら共有した学びや思いは、平和への願いを広げるきっかけとなっています。

▽報告会を聞いた生徒の感想を紹介します
・二度と同じことを起こさないという気持ちが強くなり、後の世代に伝えていきたいと思いました。関係する資料をもっと見て知識を深めたいです。
・体にも、心にも傷をおわせ、体の傷は治ったとしても心の傷はずっとあり続けるという話を聞いて、とても胸が痛みました。「平和」とは何かをもう一度考えたいと思います。

▽終戦から80年のこれから
今回の特集では、これまでの市の取組と中学生の思いをお伝えしました。終戦から80年を迎えた今、戦争の悲惨さを知り、平和の尊さを改めて考えることが、未来の平和を築く第一歩となります。そして、平和の大切さを次の世代へ継承していく役割は、こどもだけでなく、大人も担っていかなければなりません。
あなたももう一度、平和について考えてみませんか?

問合せ:秘書課
【電話】25-1154