健康 市民病院・ワンポイントクリニック

■気になるシミのはなし
皮膚科医師 岩田詩保美(いわたしおみ)

鏡をのぞいたときに目につく「シミ」。加齢による影響だけと思われがちですが、実は毎日の生活習慣や紫外線の影響が大きく関係しています。
シミの多くは、肌が紫外線を浴びたときに作られる「メラニン」という色素が原因です。通常であれば肌の新陳代謝(ターンオーバー)によって少しずつ排出されますが、加齢やストレス、ホルモンバランスの乱れなどで代謝が滞ると、メラニンが肌に残り、シミとして目立つようになります。また、やけどや虫刺され、ニキビなどがきっかけでできる「炎症後色素沈着」もよく見られます。
シミを防ぐうえで一番大切なのは、紫外線対策です。日焼け止めは夏だけでなく一年を通じて使うことが推奨されます。SPF(※1)やPA(※2)の数値は高ければよいわけではなく、日常生活ならSPF30程度、PA++程度で十分です。ただし、汗や摩擦で落ちやすいため、2∼3時間ごとの塗り直しが大切です。あわせて、帽子や日傘、サングラスなどの物理的な遮光も効果的です。
すでにできてしまったシミに対しては、市販の美白化粧品に含まれるビタミンC誘導体等が有効なこともあります。ただし、強い刺激を与えると逆に悪化することもあるため、使用時には注意が必要です。改善がみられない場合や、気になる変化がある場合には皮膚科を受診し、ご相談ください。
シミは一度濃くなると改善に時間がかかります。毎日の紫外線対策とスキンケアの積み重ねが将来のお肌を守る何よりの方法です。ちょっとした習慣を続けて、健やかな肌を保ちましょう。

※1 肌に赤みや炎症を引き起こし、シミ・そばかすの原因となる「紫外線B波」から肌を守る効果の指標
※2 肌の奥深くまで到達し、シミ・しわの原因となる「紫外線A波」から肌を守る効果の指標