くらし ちょっとより道

■「伝承こそ、教科書に載らない敗者の歴史 城(じょう)が谷(やつ)・須加谷(すかやつ)」(大谷)
~比企氏伝承の地を訪ねて(6)~
埼玉県史等には、城が谷に比企氏の館があったと書かれています。比企氏の館があったとする伝承は、城が谷のほかに、岩殿、古凍、滑川町三門館、川島町金剛寺、全部で5か所に残りますが、いずれからも館跡は見つかっていません。
城が谷の南に位置する須加谷は、若狭の局(比企能員(ひきよしかず)の娘で鎌倉二代将軍源頼家(しょうぐんみなもとのよりいえ)の妻妾(さいしょう))が夫頼家を失った悲しみを蛇に巻き付かれたような苦しさになぞらえて、苦しみを鎮めるために「蛇苦止観音(じゃくしかんのん)」を作り祀(まつ)った菅谷観音堂があったと伝えられています。観音堂は廃寺となり、観音様は、現在、扇谷山宗悟寺(せんこくさんそうごじ)に祀られています。
伝承は誰でも気軽に史実を書き残すことができなかった時代、特に敗者や地位の低い人々のことを知るための重要な情報です。

○城が谷・須加谷
交通:東武東上線「東松山駅」東口から市内循環バス(大谷コース)で「大谷交差点」下車
所在地:東松山市大谷