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■帯状疱(ほう)疹と予防の必要性
越谷市医師会 こしがや胃腸内科・皮膚科 鶴田恭子(つるたきょうこ)

今年度より越谷市で65歳以上の方(令和11年度までは年度年齢65歳以上5歳刻みの年齢の方)の帯状疱疹ワクチンの定期接種がスタートしました。ここでは帯状疱疹とはどんな病気なのか、予防の必要性とともにご紹介いたします。

▽原因は水ぼうそうウィルス
多くの人が子どもの頃にかかった水ぼうそうウィルスが帯状疱疹の原因です。水ぼうそうが治ったあとも、このウィルスは長い間体内に潜伏しています。そのため、水ぼうそうになったことのある人は、帯状疱疹を発症する可能性があります。80歳までに、日本人の約3人に1人が発症すると言われています。

▽帯状疱疹の痛み
症状には個人差がありますが、チクチク、ピリピリした知覚過敏のような痛みが皮膚に生じ、数日後に水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れます。症状は体の左右どちらかに現れるのが特徴で、多くは上半身に現れ、顔面や頭部に現れることも少なくありません。
痛みは徐々に強くなっていき、眠れないほど激しい痛みに襲われる場合もあります。ウィルスが神経を大きく傷つけてしまうと、皮膚の症状が治ったあとも痛みが続くことがあります。3カ月以上続く痛みは帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれます。

▽帯状疱疹の予防
帯状疱疹の発症には免疫機能の低下が関係しているため、日頃から十分な休息を取りながら、免疫機能を低下させる疲労やストレスのない規則正しい生活を送ることが大切です。予防法の一つにはワクチンという選択肢もあり、不活化ワクチンのシングリックス、生ワクチンのビケンワクチンの2種類があります。
不活化ワクチンは有効期間が10年で、免疫が低下した高齢者にも抗体が付きやすく、60代・70代・80代の各年代で、90%以上の予防効果があります。効果や持続期間を重視する場合、不活化ワクチンが適しているかもしれません。
生ワクチンの有効期間は約5年で、年齢によってはさらに短くなることもありますが、安価で接種が可能です。生ワクチンの予防効果は60代で64%、70代で41%、80代で14%となっており、比較検討して、どちらのワクチンを選択するか決めるとよいでしょう。

問合せ:越谷市医師会 こしがや胃腸内科・皮膚科
【電話】973-7846