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■インフルエンザ予防接種のすすめ
越谷市医師会 秋山内科小児科医院
秋山 孝輝(あきやま たかてる)

例年10月から各医療機関にてインフルエンザの予防接種が始まります。そこで今回はインフルエンザおよびワクチンに関して解説していきます。
インフルエンザウィルスはA型、B型、C型、D型の4種類に大きく分類されます。
A型およびB型が人への感染・流行・インフルエンザ脳症・体力低下による重症化で問題となります。A型は感染性が強く、変異率も高く、その変異からさらに約200種類へと細分化されます。変異率が高いため異なる変異株にひと冬で2回かかることがあります。B型はA型ほど毒性や感染性は高くないものの、やや病状は長引く傾向にあります。変異率は低く、山形株とビクトリア株の2系統に分かれ、シーズンで1回のり患で済むといわれます。C型は主に乳幼児に感染しますがほぼ重症化なく、D型は家畜感染症で人には感染しません。
インフルエンザワクチンはA型2種類とB型1種類の3種類をカバーしています。
毎年3月前後に国立感染症研究所で、翌シーズン流行しそうな株を予測しその組み合わせを決定しています。その効果は乳幼児2回接種で重症化を約50%低下させ、インフルエンザ脳症発生予防に大きく貢献しています。高齢者に関しては、発病予防効果は50%前後とされ、り患したとしても入院低下率が接種3カ月以内で75%前後、6カ月後で50%とされています。
またワクチン集団接種予防効果としては、学校集団接種でその地域の流行が40%抑制されたというデータがあります。日本もかつては学校集団接種を行っていましたが、その中止でその後の超過死亡が乳幼児および高齢者で増加しているという報告があります。
ワクチン接種には個人の発症予防や重症化予防の点と、集団での流行予防の点をあわせた効果があります。特に乳幼児インフルエンザ脳症発生予防や高齢者の肺炎重症化予防、そして抗がん剤治療中の方や免疫が弱い方への集団免疫の観点からはより多くの方に接種いただきたいと考えます。
地域のために、家族のために、そしてご自身のために、インフルエンザ予防接種をぜひご検討ください。

問合せ:越谷市医師会 秋山内科小児科医院
【電話】961-8367