健康 健康情報コラム

■照明と視力の深い関係
越谷市薬剤師会 オリーブ薬局
山﨑康之(やまざきやすゆき)

年齢とともに「見えにくさ」を感じることはありませんか。これはピントを合わせる力が弱まることで起こる老眼と呼ばれる現象です。実はその背景には、光の条件も大きく関わっています。
私自身、最近これまでの眼鏡では細かい文字が読みづらくなり、度を少し強めて新しく作り直しました。パソコン作業やスマホ操作が多いこともありますが、年齢とともに眼の状態は少しずつ変わっていくのだと、改めて実感しています。
視力は単に「遠くが見えるかどうか」だけではなく、周囲の明るさによっても大きく左右されます。暗い場所では老眼の影響をより強く感じやすく、目の疲れや頭痛の原因になることもあります。
文部科学省が定める「学校環境衛生基準」では、パソコン等を使う教室の机上照度は500~1,000ルクスが望ましいとされています。
ではこの明るさは私たちの生活環境ではどの程度でしょうか。
・300ルクス…リビングなどの落ち着いた照明
・500ルクス…机上などの作業がしやすい明るさ
・750ルクス…細かい文字を読むのに十分な明るさ
・1,000ルクス…明るいオフィスで快適に作業可能
つまり「500~1,000ルクス」とは、学習机や事務室のような“やや明るめからしっかり明るい環境”を意味します。
日常生活では、パソコンやスマホはできるだけ明るい場所で行い、デスクライトは横や後ろから照らして影を防ぎ、老眼鏡や遠近両用を場面に応じて使い分け、さらに一時間に一度は遠くを眺めて目を休めることが勧められます。
老眼は誰にでも訪れる自然な変化です。でも、ちょっとした工夫で見やすさは大きく変わります。眼鏡と光の環境を上手に整えながら、明るさを味方にして、目に優しい毎日を心がけてみませんか。