くらし 輝いてます ひと

わらび寄席 席亭 平塚 奈帆子(ひらつか なおこ)さん

■蕨に話芸を楽しめる場所を
落語や講談、浪曲といった日本の話芸を地元で気軽に楽しんでもらおうと開催されている「わらび寄席」。寄席の企画や運営を担う席亭を務めるのは、平塚奈帆子さん(47歳・錦町3丁目)です。
7年前、偶然目にしたのぼりに引かれて寄席に立ち寄り、落語と出会いました。扇子や手ぬぐいを巧みに使い、語りだけで情景を描く話芸の世界にすぐに夢中になり、以来、寄席へ通うようになりました。
転機となったのは3年前、仕事に追われ余裕のない日々の合間に聴いた桂蝶(かつらちょう)の治(じ)さんの一席でした。「気が付くと落語に没頭し、張りつめていた気持ちがほどけていくのを感じました」と平塚さん。生の話芸には、人の心を元気づける力があるとあらためて実感し、こんな体験を身近な人たちにも味わってもらいたいという思いが芽生えました。
そんな折、趣味の着物が縁で市内の呉服店から依頼を受け、小さな落語会を開催することに。これを機に、落語・講談・浪曲の会を次々と企画していきます。思い立ったらとことんやる性格から、ちらしは全て手作りし、出演者の別の公演にも赴いて案内を行うなど、地道な努力を重ねました。その姿に共感し、公演日には寄席で知り合った仲間が手伝いに来るように。そして昨年10月、ついに「第1回わらび寄席」を本格的な寄席として地元蕨で開催すると、133人もの来場者が集まりました。「会場いっぱいに笑い声が広がる光景に、胸が熱くなりました」と振り返ります。
その喜びを原動力に、先月の第2回に続き、来月7日には子ども落語体験会も実施予定。「わらび寄席をきっかけに話芸に親しむ人が増えたらいいですね」と笑う平塚さんの目には、寄席の文化が根付いた蕨の未来が映っています。