しごと 〈特集1〉も~っと知ろう!志木の農業 市内で唯一の牧場を紹介(1)

皆さんは、志木市に牧場があることをご存じですか。
私たちの生活に欠かせない牛乳などの乳製品は、酪農家の存在によって支えられています。
今月は、市内で唯一牧場を営んでいる「池ノ内牧場」を紹介します。生産者の想いを知り、牛乳をはじめとした食べ物への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

■酪農の現状
「酪農」の“酪”は、乳製品のことを指しています。乳牛を育てて乳を搾り、生乳を集めて提供するまでの農業が「酪農」です。
酪農を経営する酪農家(乳用牛を飼養する農家)は全国的に減少傾向にあります。平成12年に約33,600戸あった乳用牛飼養戸数は、令和6年には約11,900戸にまで減少しており、埼玉県内においても、令和6年の乳用牛飼養戸数は131戸となっています。

乳用牛飼養戸数(埼玉県)

出典:農林水産省畜産統計調査

■志木市の現状
志木市内では、2戸の牧場が経営されていました。しかし、後継者不足や飼料価格の高騰による経営コストの増加などで廃業となり、現在は1戸のみとなっています。
また、朝霞・和光・新座市などの近隣市を見ても、現在経営している牧場は1戸もない状況です。

近隣市の乳用牛飼養戸数

■都市近郊型の牧場
昭和35年、上宗岡2丁目に開場した池ノ内牧場は、広大な敷地を使った放牧型の牧場ではなく、住宅地という限られた敷地を生かした都市近郊型の牧場です。家族で経営を続けてきた池ノ内牧場は、徹底した衛生管理によって、平成21年から継続して埼玉県優良生産管理農場の認証を受けています。
また、経営地内には田んぼがあり、有機栽培・低農薬のお米を栽培しています。牧場での糞(ふん)などを堆肥として田んぼへ、田んぼで採れた米殻や藁(わら)を牧場へと循環させるなど、それぞれを有効活用しながら牧場を経営しています。

□所在地
上宗岡2-21-14

□頭数
乳牛:32頭
子牛:8頭
※令和7年8月時点

□搾乳量
年間(令和6年):230t

■受け継いだ市内唯一の牧場
昭和35年に経営がはじまり、今年で65年目を迎える「池ノ内牧場」。
令和7年1月、父である池ノ内悟(さとし)さんから牧場を受け継いだ真人さんは「これまで続いてきた牧場をしっかりと受け継ぐことはもちろん、何よりも牛たちへの、生命への責任がある。必ず最後までやり抜いていきます。」と熱い想いを話します。

■はじまりは動物が好き
牧場の経営者として代替わりをしたばかりではあるものの、牧場での経験は19年を迎える真人さん。
宗岡中学校卒業後、北海道の農業高校、埼玉県の農業大学校へ進学。さまざまな経験と学びを経て、再び志木市に戻ってきました。「幼いころから牧場で毎日のように牛たちとふれあっていたこともあり、進路を考えたときも、大好きな動物に関わる仕事がしたいと真っ先に思いました。」と牧場で働くことを決めたきっかけを笑顔で答えてくれました。

((2)へ続く)