- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県志木市
- 広報紙名 : 広報しき 令和7年9月号
((1)の続き)
■毎日の変化が面白い
「一頭一頭、姿や表情が毎日違うんですよ。それぞれの個性があって飽きることがないんです。」と牛たちのお世話をしながら楽しそうに話す真人さん。続けて「機嫌が悪いときには思いっきり吹き飛ばされたこともありましたね。」と苦い経験も話してくれました。
毎日の変化を楽しむ一方で、餌の食べ方や搾乳量など、牛たちのわずかな健康状態の変化も見逃さないよう確認もしているといいます。また、常に牛舎を清潔に保ち、こまめな餌やりをするだけでなく、1日2回の搾乳作業は、12時間の間隔を空けて実施するなど、牛たちにとってストレスがない快適な環境を1日中かけて整えます。「休みなく常に牛たちのお世話をすることは大変ですが、やりがいでもありますね。」と楽しさだけでなく苦労も教えてくれました。
■地域の皆さんへの感謝
都市近郊型牧場である池ノ内牧場は、輸送時間の短さによる鮮度の良さや県内の地産地消への貢献などの反面、近隣地域への影響という避けては通れない点もあります。
池ノ内牧場では、乾燥した納豆を餌に混ぜるなど、牛たちの健康を考えるとともに、匂いへの対策も講じています。「どんなに対策をしていても匂いは発生してしまう。地域の皆さんの理解があるからこそ長年にわたって続けられているので感謝の気持ちでいっぱいです。」と地域の皆さんへの心からの感謝を話します。
■新たな挑戦と想い
牧場の経営を受け継いだ真人さんに新しく挑戦したいことや酪農家としての想いを伺うと「まだまだ検討段階ですが、いつか牧場で採れた牛乳を生かしたアイスを作ってみたいですね。また、皆さんにはぜひ牛乳を飲んでもらいたいです。普段飲んでいる人はプラスで“もう”一杯!牛乳を飲むことは身体に良いだけでなく、私たち酪農家を支え、応援することにもつながります。」と語ってくれました。
生産する牛乳への確かな自信と牧場経営を担っていく覚悟を決めた真剣なまなざしが見受けられました。
◆池ノ内牧場一日の流れ
◇牛舎の掃除6時30分~17時~
糞(ふん)や尿などを処理して、牛舎を清潔に保ちます。
◇粗飼料(乾草)7時~、11時~、12時~17時30分~、22時~
輸入された粗飼料を複数回に分けて与えます(1頭あたり1日約13kg)。
◇搾乳7時30分~9時30分19時30分~21時30分
1頭あたり1日に20~30ℓを搾ります。12時間の間隔を空けることで牛へのストレスを抑え、搾乳量の増加にもつながります。
◇濃厚飼料(配合飼料)10時~、11時30分~18時~、21時~
ビールかすや乾燥した納豆、田んぼで採れた藁など、栄養バランスを考慮したこだわりのブレンド餌です(1頭あたり1日約12kg)。
●子牛たちに会える
令和8年1月から5月頃まで、生後3~4か月を迎えた子牛たちが池ノ内牧場前の牧草地で自由にのびのびと過ごします。この機会にかわいい姿を見に池ノ内牧場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
子牛たちは夏になると埼玉県の公共牧場「埼玉県秩父高原牧場」へ預けられ、広い放牧地で大きく成長し、再び志木市へ戻ってきます。
●集めた生乳はどこへ…
○JA全農さいたまが県内の牧場から生乳を回収
毎日、集乳車が県内を巡り、各牧場から生乳を集めます。集乳前には、必ず検査を実施し、安全を確認しています。
○埼北酪農業協同組合でパック詰め、県内各地のお店や学校へ
再度検査を終えた牛乳は、パックなどに詰められます。池ノ内牧場で採れた生乳が含まれた製品は埼北酪農業協同組合や県北地域の学校で提供されています。
問合せ:産業観光課
【電話】048-473-1136