文化 みよし歴史探訪

■れきしとくらし 第四十一回 南止(みなしず)遺跡 その(1)
南止遺跡は、所沢市南永井と接する上富地区の南の境に位置しており、東側は大きな窪地になっています。この窪地からは、過去の調査で東方向へ延びる埋没谷が確認されており、この付近が町東部の唐沢堀につながる、埋もれてしまった河川の始まり(水源地)であったと考えられます。南止遺跡はこの埋没谷の最上流域に広がる旧石器時代から縄文時代早期の遺跡です。
通常、旧石器時代の発掘調査で確認される赤土と呼ばれる関東ローム層は、赤褐色や黒褐色であることが多いのですが、南止遺跡のローム層は白色に変化していました。これは土が長期間水に浸かっていたためにおこるもので、通常よりも水分を多く含み、ベタベタとした粘土質の状態でした。そのため、発掘調査で小さな石器を探すために慎重に土を削っていても、すぐに道具に土がまとわりついてしまって作業がなかなか進まなかったり、掘った土が重たくて運ぶことが大変だったりと、当時、発掘現場で作業していた方はいつも以上に苦労されたそうです。
南止遺跡では、石器や礫(れき)などの遺物が埋没谷に沿った場所で多く出土しています。このことから旧石器時代に流れていたこの河川で人々は水を得るために南止遺跡の地を訪れ、水辺に集まる獣を捕らえるためにここで石器を作り、熱した石で石焼バーベキューのような調理をしていたと考えられます。
次号では、南止遺跡で出土した遺物について詳しく見ていきます。

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