- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県神川町
- 広報紙名 : 広報かみかわ 2025年11月号(第239号)
◆第50回 展示資料紹介(8) 羽口
中央公民館の文化財展示室には、「羽口(はぐち)」と呼ばれる土の道具が展示されています。羽口は、炉に風を送って火力を強めるための筒で、鞴(ふいご)という送風道具につながっていました。
展示されている羽口は炉に差し込んで使われたため、先が溶けて黒く硬くなっています。長さは約9センチほど残っていますが、もとはもっと長いものでした。
この羽口は、神川幼稚園の敷地にあたる中道遺跡第2地点で見つかったものです。発見場所の竪穴住居跡は古墳時代のもので、展示品のほかに7個体分の破片も見つかっています。
住居跡の中央には浅いくぼみがあり、その中心に焼けて硬くなった小さな穴がありました。羽口が出土していることから、この場所は鉄を打ち直していた鍛冶の跡と考えられます。
規模から見ると、鉄をつくる製鉄炉ではなく、使えなくなった農具などを修理する小鍛冶(こかじ)の跡のようです。この家の人はムラの鍛冶屋さんだったのかもしれません。また、住居跡からは6世紀後半の土器も見つかっています。6世紀にまでさかのぼる小鍛冶跡は全国でも珍しく、とても貴重な発見です。
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