文化 学芸員が選ぶ今月のイッピン

■歌川広重
《月に雁》
1832-35年(天保3-6年)頃 RISD美術館蔵

大きな月と下に見える雲を背景に、下降する雁(がん)が描かれています。歌川広重による本図は、1949年(昭和24年)発行の記念切手の図案になった作品で、記憶にある方もいらっしゃるでしょう。
広重は「東海道五十三次」シリーズなど風景画がよく知られますが、花鳥版画の分野でも浮世絵師随一の作画量を誇り、人気を博したことがうかがえます。開催中の「ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に」では、高名な大富豪一族・ロックフェラー家の一員で、社交界の名士でもあったアビー・オルドリッチ・ロックフェラーの花鳥版画コレクションから選りすぐった163点が、アメリカから里帰りしています。このコレクションでも広重の作品が大半を締めており、今回の展覧会では広重による花鳥版画110点をご覧いただくことができます。
本展では広重の師・歌川豊広の作品も展示され、師から弟子へ受け継がれた画題や描き方も見て取ることができます。日本に現存する花鳥版画作品はそう多くなく、優品を一挙に見られる貴重な機会ともなります。ぜひお見逃しなく。

田部井学芸員…開館30周年記念展「ロックフェラー・コレクション花鳥版画展」(3月1日(日曜日)まで)にて展示中です。

問い合わせ:市美術館
【電話】221-2311【FAX】221-2316