文化 学芸員が選ぶ 今月のイッピン

Nerhol(ネルホル)「Nelumbo nucifera(ネルンボヌキフェラ)」
オオガハスの薄紅色の花と、緑色の大きな葉。開花の時期に、千葉公園で催される「大賀ハスまつり」を毎年楽しみにされている方も、きっと多いことでしょう。本作は、市民に親しまれている市の花・オオガハスをモチーフとした現代アート作品です。
作品名はハスの学名「Nelumbo nucifera」、作者は田中義久(たなかよしひさ)と飯田竜太(いいだりゅうた)によるアーティストデュオNerholです。二人は、昨年に千葉市美術館で開催された個展に向けて、市の歴史を調査する中でオオガハスに着目し、新作としてこの作品を発表しました。千葉公園で撮影されたオオガハスの映像から、数十枚の画像を選んで出力し、重ねた紙が彫り刻まれています。揺れる花や葉の姿が、彫ることであらわれるNerholの作品は、まさに「時間の移ろい」を彫刻する新しい表現といえます。この作品は市とも関わりが深いことから、個展の終了後に美術館のコレクションに加わりました。千葉市美術館は今年開館30周年を迎えます。これからも多様な時代・表現の美術作品の収集と活用に取り組んでいきます。

森啓輔学芸員:「未来/追想 千葉市美術館と現代美術」(10月19日(日曜日)まで)にて展示中です。

問い合わせ:市美術館
【電話】221-2311【FAX】221-2316