文化 市美術館コレクション探訪

谷種扇舟(たねやせんしゅう)
《臨雁塔聖教序(がんとうしょぎょうじょにのぞむ)》
紙本墨書・紙本墨拓 2曲1隻 昭和45年(1970) 千葉市美術館蔵

新しい年の初め、書初めにチャレンジされた方もいらっしゃるでしょうか。市美術館の常設展では房総ゆかりの書家たちの作品を特集します。今回ご紹介するのは書と拓本(たくほん)を組み合わせた屏風で、新年に相応しい気品あふれる一作です。「雁塔聖教序」とは、中国・唐時代に西安市内の慈恩寺大雁塔入口に建立された碑で、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が太宗と皇太子から賜った序と記を刻した記念碑のこと。《臨雁塔聖教序》では、名作の誉れ高いこの碑の拓本が右側に、左側には拓本を愛蔵した種谷扇舟(1914から2004)の臨書が配されます。八街市に生まれた扇舟は制作当時五十代半ば。名跡に挑んだ書家の緊張感と、みなぎる情熱とが感じられる作品です。
(常設展示室にて12月3日から2月2日まで展示)