- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県館山市
- 広報紙名 : 広報だん暖たてやま 令和八年2月号
■世界に誇る日本の文化を広げるために磨き続ける
有限会社オサダの代表取締役を務める畳工の長田久富さんが、厚生労働省が卓越した技能者を表彰する令和7年の「現代の名工」に選ばれました。
祖父の代から100年以上続く畳店の3代目である長田さんは、研究熱心な性格で、少年時代は車のエンジンの仕組みに興味をもち、地元の書店で購入した1冊の本を読み込んでいたそうです。中学を卒業した15歳で畳工の業界に入りますが、父・富男さんの「技術は見て盗め」という教えのもと、独自に研究して技術を磨いてきました。
日本一の畳職人を目指す中で、特に大事にしてきたことは「作業の原理を知ること」だったそうです。針を刺す理由、糸を絞める理由など、一つひとつの工程について理解と基礎技術を深める中で、時には道具を自作することもありました。
20代で様々な競技会に参加して賞を獲得した長田さんの転機となったのは、昭和59年に参加した「オランダ博」でした。オランダの地で畳づくりを披露し、全国各地の畳業者と交流する中で、畳業者として商売(経営)していくには、一点物の品質の向上だけでなく、求められる製品づくりや量産の世界もあることに気付かされたといいます。
それでも品質に妥協したくなかった長田さんは、機械による畳製造も取り入れつつ、手作業による技術の向上も怠りませんでした。平成13年には「全国技能グランプリ」畳製作部門で厚生労働大臣賞を受賞し、日本一の畳職人の称号を獲得しました。
洋室化が進み、畳の出荷数が全国で減少する中、「この畳が欲しい」と選ばれる製品を作ろうと、近年では、ペット対応型で畳のように柔らかく、フローリングのように丈夫な畳や、歩きやすい硬さと、転んでもケガをしにくい柔らかさを備えた衝撃緩和畳床など、新たな価値を付けた畳を開発し、畳文化の継承に力を入れています。
丁寧に保管された愛用の道具を手に、「畳は世界に誇る日本の文化です。手作業の道具を使う機会は減りましたが、この技術はきちんと次の世代に引き継いでいきたいと思っています。そして、世界で活躍する日本人に畳を使ってもらうのが今の夢の一つです」と、これからの目標を語ってくださいました。
