- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県印西市
- 広報紙名 : 広報いんざい 令和7年5月1日号
■火(ひ)のし~グローバルなアイロン~
「火のし(写真左)」は、現在の電気アイロンのように布のしわを伸ばしたりするときなどに使われていた道具です。漢字では「火熨斗」と書きます。
中国では、火のしは紀元前から使われていたようです。日本では、古墳の副葬品として火のしが見つかっています。
火のしは柄の先に付いた金属製の器部分に炭を入れ、器部分の底を布に押し当てることにより、現代の電気アイロンのように布のしわを伸ばすときに使いました。また、平安時代の書物には、貴族の寝床を温めるために、火のしを使う記述もあります。
火のしが日本の庶民に広まったのは、江戸時代中頃とされています。幕末頃になるとイギリスから炭を入れて使う「炭火アイロン(写真右)」が輸入されて広まっていきましたが、和服のしわ伸ばしについては、炭火アイロン導入後も火のしが多く使われていたようです。
なお、日本では炭火アイロンは別名「西洋火のし」と呼ばれ、電気アイロンが普及する昭和まで使われていました。また、電気アイロンの普及により、火のしも徐々に使用されなくなっていきました。
ところで、アイロンについて調べてみると「熨斗」は現代中国語で「アイロン」を意味するそうです。また、中央アジアや中東・東ヨーロッパの一部では中国語の「熨斗」を語源とする語で「アイロン」を表現するそうです。これらのことから考えると、炭火アイロンを「西洋火のし」の別名で呼んでいたことは「言い得て妙」だったのかもしれません。
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