文化 シリーズめっけたぁ!!おらがの文化財(104)~南房総市内の文化財を紹介します~

◆市指定有形文化財(絵画)
『阿字観図(あじかんず)』
所在地/府中(ふちゅう)687-1(三芳地区)
所有者/宝珠院(ほうしゅいん)(真言宗)

◇「ア」がみちびく悟りの境地
宝珠院は、室町時代の応永(おうえい)11年(1404)に開山した真言宗の寺院です。江戸時代には、安房国の真言宗触頭(ふれがしら)として、地域内にある同宗派の寺院を統括していました。宝珠院には、複数の絵画が所蔵されていますが、そのうちの一つに、阿字観図という掛け軸があります。
阿字観図は、梵字(ぼんじ)で書かれた阿字(アの一文字)を観(み)ながら瞑想をする「阿字観」という修行で使う図像です。この阿字は、「ア」の発音がすべての始まりで、万物の根源であるという考えに由来し、大日如来(だいにちにょらい)を意味するとされます。この修行法は、真言宗の開祖である空海(くうかい)(774~835)が日本に広めました。
宝珠院が所蔵する図は、縦98cm・幅38cmの絹本(けんぽん)で、作者や年号は記されていませんが、その特徴から室町時代に描かれたと考えられています。
画面の中央には、蓮華座(れんげざ)の上に乗り、円相(えんそう)(月輪(がちりん))の中に据えられた阿字が大きく描かれています。また、蓮華座を支えているのは、煩悩(ぼんのう)を打ち消す象徴とされる、三鈷杵(さんこしょ)という法具(ほうぐ)です。表面が経年による変色で黒ずんでいますが、阿字の部分は金泥(きんでい)、蓮華座などの輪郭は切金(きりかね)で表現されており、当初は絢爛(けんらん)な色彩であったことがわかります。

◇公開
・非公開

*マナーを守って楽しく見学しましょう。
*見学する時は、所有者・管理者の指示に必ず従ってください。

問合せ:教育委員会生涯学習課
【電話】46-2963