くらし ひとこと(206)

■生きるために大切なこと
いすみ市長 太田洋

今、社会が変わりつつある中で、若い人が犯罪に手を染めるニュースが多く、若い人の心がどうなってきているのか心配する日々です。私たちが若い頃、困難な時代にあっても、小さな夢をもって生きてきたように思います。まちがったことをすると叱られ、いさめられ、多くの経験を通して、人として成長してきました。
今の子供たちが悪いということではなく、人として生きていく上で大切なことを、大人や学校が教えなければと感じます。何も古臭い道徳を教えることではなく、人としてどう生きるか、人は、社会的動物であり、ひとりでは生きていくことができないことをしっかりと教えることが、未来を生きる子供を大切な人材として成長させるために必要ではないかと考えます。
私が中学1年生の時、担任の先生がホームルームの時間によく話してくれた言葉があります。その時は十分理解できなく、ただ聞くばかりでしたが、今でも心に鮮明に残っています。その内容とは、「日本はこれから平和のもと、大きく成長していくでしょう。今、生活は苦しくても貧しくても、未来をひらくのは皆さんです。人はひとりでは生きていくことはできません。常に感謝の心を持ち、この心を大切にして人に接してください。これから日本は良くなるはずです。皆さんの時代が必ず来ます。困難に負けず、日々を大切にして生きてください。」というものでした。
今を生きる若者と私たちの時代はもちろん違いますが、それぞれのおかれた環境は少し似ているようにも思います。先の見えない将来は、私たちの若い時と同じでも、社会の変化の激しさは、想像以上のものが今はあります。情報に翻弄され、物質至上主義の中、どう生きていくかを悩んでいる若い人も多いと思います。しかし、厳しい時代を生きているからこそ、そこから夢が生まれ、強く生きる力が生まれると思います。
人として生きることの意味をもう一度考え、周りの人への感謝の気持ちを忘れずに、困難な時代を乗り越えていってほしいと思います。