- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都台東区
- 広報紙名 : 広報たいとう 令和8年1月1日号
■国立西洋美術館世界遺産登録10周年・これからの取り組み
司会:国立西洋美術館は平成28年に、ル・コルビュジエの建築作品の構成資産として、世界文化遺産に登録をされました。あらためて、世界遺産登録が決定したときの思いを教えてください。
区長:平成28年7月、トルコ・イスタンブールで開催されたユネスコ世界遺産委員会では、当時の太田雅久議長、石山和幸会長、区の担当職員が現地に赴いて、また、区役所の10階ではパブリックビューイングを開催し、当時の馬渕明子西洋美術館長、宮田亮平文化庁長官をはじめ、関係者の皆様と登録を見守りました。
長年にわたり登録活動に取り組んできた悲願が実り、登録決定の瞬間の感動は今も忘れることができません。
登録に向けて大変大きな力となった、国立西洋美術館世界遺産登録たいとう推進協議会の石山和幸会長はじめ、大変多くの方々の活動と想い、これを忘れてはならないと感じています。
司会:田中館長は世界遺産登録後に館長に就任されていますが、国立西洋美術館に就任が決まったとき、どういったお気持ちでしたか。
館長:私がまだ学芸課の研究員だったときに、この世界遺産の話がちょうど始まりました。
その後、私はこの美術館を一旦離れて、そしてまた館長として戻ってくることになったわけですが、世界遺産に登録されたことにも感慨がひとしお、という感じでした。
また、登録後にオリジナルの形に前庭を戻すということで、ちょうどリニューアル工事をやっているときでした。ですので、このリニューアル工事をしっかりと成功させて、世界遺産としての当館の魅力をいかに高めていけばいいのかを考える日々でした。
司会:国立西洋美術館は世界遺産登録後の令和2年10月から休館をして、令和4年4月にリニューアルオープンをしました。リニューアル前と比べてどのような点が変わったのか教えてください。
館長:リニューアル工事は、主に前庭の工事でした。前庭を1959年に、この美術館ができた当時のものに復原するのが一番重要なポイントになっていたわけです。それによって、ル・コルビュジエの造形思想や設計コンセプトがよりわかりやすく、もう一度はっきりと見えてくるようになったのではないかと思っています。
区長:館長に就任をされてから、川崎重工業とオフィシャルパートナー契約を締結し、毎月第2日曜日に常設展を無料にするなど新しい取り組みも実施されていますね。
館長:今の美術館には、これから発展させていかなければならない重要なことが4つございます。
1つが多様性、もう1つが平等性、そして社会包摂性です。4つ目が、誰にでも利用しやすくするという意味でのアクセシビリティになります。
これをどのように充実させていくのかが、この美術館においても大きな重要な課題になっています。その取り組みに、川崎重工業の皆さんが賛同してくださいまして、オフィシャルパートナーシップを結ばせていただきました。
そういったご協力も仰ぎながら、日本が抱える社会的な課題の解決にも貢献できるように、美術館のイベントやプログラムをいかに充実させるかを考えております。
区長:大変素晴らしい取り組みですね。このような取り組みを今後も大いに期待をしています。
館長:さらには、できるだけ多くの方に、この美術館に来て楽しんでいただきたい、この美術館に来たことで、とても充実した1日になったと思っていただきたいです。
そのような想いを持ちつつ、最近当館を題材にした絵本を作っていただきました。お母さんが子供と一緒にこの美術館を訪れたときのことが書かれていて、お子様と一緒に美術館に来たときに、どのように美術館という場所を楽しめばいいのかを知っていただければと思っています。
司会:令和8年に国立西洋美術館が世界遺産登録10周年を迎えます。国立西洋美術館が果たすべき役割、また本年の取り組みなどを教えてください。
館長:今年も、さまざまな企画展を開催する予定になっています。春には、チュルリョーニスというリトアニアの画家の展覧会を行います。20世紀の初頭に、作曲家としても、そして画家としても活動したチュルリョーニスについて、皆さんにもぜひ知っていただきたいと思います。
まだまだ知らない西洋美術の魅力を皆さんにお伝えしていくのも、この美術館のとても重要な使命だと思っております。
区長:区としても、国立西洋美術館の魅力を国内外に発信をしていくことが、世界遺産のあるまち台東区の大きな使命であると考えています。
本年は、国立西洋美術館の世界遺産登録10周年を記念した事業やイベントを実施する予定です。
国立西洋美術館と連携をして、記念式典の実施や記念誌の作成など、さまざまな取り組みを行って、区民をはじめとする多くの方にその価値を伝えてまいります。
■新年の抱負・区民の皆様へのメッセージ
司会:それでは最後に、今年の抱負と区民の皆様へのメッセージをお願いします。
館長:日頃は国立西洋美術館をご支援くださいまして、心より御礼申し上げます。
国立西洋美術館は日本で唯一、これほどの充実したものが見られるのかというくらいに、西洋美術を堪能できる美術館になっています。
今年もさまざまな展覧会を開催します。また常設展示、コレクション展示のほうも充実をさせまして、西洋美術の魅力を、区民の皆様に伝えていきたいと思っております。教育的なプログラム、皆さんが参加できるワークショップも開催しますので、ぜひ区民の皆様と、今年も国立西洋美術館の活動を盛り上げていければと願っております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
区長:区では、江戸から明治へと時代が変わり、東京が誕生して150年の節目の年である平成30年を、江戸ルネサンス元年と位置付けまして、本区に色濃く残る江戸の文化資源、江戸たいとうの魅力を発信してきました。
引き続き、江戸の伝統や文化などの地域資源、江戸たいとうを活用した講演会などを実施することで、区民の郷土意識と誇りを一層深めてまいります。
そして本年は、花の心プロジェクト開始から10周年を迎えます。これまでの取り組みを振り返るとともに、プロジェクトのさらなる普及啓発を図るため、この10周年を機にさまざまな事業を実施します。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
■「チュルリョーニス展 内なる星図」
会期:2026年3月28日(土)~6月14日(日)
会場:国立西洋美術館企画展示室B2F
